金融庁が登録業者6社に業務改善命令、マネーロンダリング対策やガバナンスなどで複数の問題が発覚

 金融庁は22日、仮想通貨交換業の登録業者6社への業務改善命令を発表した。処分を受けた各社ともに、昨年秋以降、急速に業容が拡大する一方で、内部管理態勢やシステム管理のための体制整備を進めていないことがわかった。

 処分を受けたのは、ビットフライヤー、ビットバンク、テックビューロ、QUOINE、BTCボックス、ビットポイントジャパン。

 すべての業者で顧客資産の分別管理や、マネーロンダリング対策(AML)の点で問題が見つかった。具体的には、登録の際の事前の本人確認(KYC)が不十分であったり、マネーロンダリングの疑いがあるような取引について確認作業をしていないケースが見つかった。金融庁によれば、実際に反社会勢力によるものとみられる取引があったという。

 顧客資産の管理については、顧客の資産と会社の資産とを同じウォレットで管理したり、利用者が預けた金銭が帳簿上の残高を頻繁に下回る事例などが見つかった。

 また創業者に権限が集中したり、取締役会が牽制機能を果たしてないといった、会社のガバナンス上の問題が複数見つかった。

 仮想通貨交換業の登録業者で構成する、日本仮想通貨交換業協会は同日、今回の金融庁の処分を受け、声明を発表した。

 今回の処分の背景について次のように説明している。

現在の仮想通貨交換業者はスタートアップやベンチャー企業が多く、昨年秋以降の仮想通貨ブームによって、想定を超えた大量の顧客が短期間に流入し、仮想通貨交換業者側の受入れ態勢が追い付かなかったことなどがございます。

 同協会では、「この状況を重く受け止めている」とし、業界の信頼回復のため、「一刻も早く当協会の自主規制機能を確立し、利用者保護と市場整備を推し進めるとともに、速やかに各社の業務の業務を改善する」と述べている。

 次では、各社で具体的にどのような問題が見つかったのかを金融庁の発表資料などから見ていく。

ビットフライヤー

 ビットフライヤーは6社の中で最多、10項目にわたる業務改善命令を受けた。

 ビットフライヤーについては企業のガバナンスでも問題点がみつかっている。

 金融庁は、ビットフライヤーの取締役の構成が創業者の知人で占められており、「監査等委員会及び取締役会が牽制機能を発揮していない」と厳しく指摘する。また「登録審査等に関して当局等へ事実と異なる説明を行った」ことも発覚。企業風土に問題点があると指摘する。金融庁は、ビットフライヤーに対して「経営管理態勢の抜本的な見直し」を求めた。

 本人確認についても問題があった。金融庁がサンプルを抽出して検証したところ、住所が私書箱になっているものなどがあったという。

 ビットフライヤーは今回の処分を受け、新規顧客の受け入れを一時停止することを発表した。また既存の顧客についても、本人確認状況を再点検を行うとしている。

QUOINE

 QUOINEは4月9日から検査を受け、7項目にわたる業務改善命令を受けた。

 QUOINEは取引システムに関して、シンガポールの子会社を通じて、ベトナムに企業に委託している。金融庁の検査によって、外部委託先の監督を十分に行っていなかったことがわかった。

 また顧客の職業確認を行わずに取引をさせていた事例など、反社会的勢力との取引の未然防止策が十分に行われていなかった。

 さらに取引日記帳といった法定帳簿が長期間にわたり、未作成の状態だった。

ビットバンク

 ビットバンクは4月18日から検査を受け、8項目にわたる業務改善命令を受けた。

 昨年秋以降の業務拡大の中で、経営陣がコスト削減を優先し、人員増強をせず、多くの業務領域で適切な業務運営が行われていなかったことがわかった。社内規定についても、「業務の実態とかい離した内容のものが大宗を占め、実際の管理で活用されていない」ことも発覚した。

 またビットバンクについては、「ホワイトラベル戦略における実効性のある態勢の構築」も処分の中で指摘された。

 ビットバンクは、自社で開発したシステムを、ほかの仮想通貨交換業者や今後進出を予定している企業などへ提供する「ホワイトラベル戦略」を取っている。ビットバンクはこの戦略を積極的に展開しようとしているが、金融庁の検査では適切な対応が取られていなかった。

 具体的には、システム提供先でシステムトラブルが発生した際の連絡プロセスや手順といった規定を作成していなかった。

BTCボックス

 BTCボックスは4月18日から検査が入り、9項目の業務改善命令を受けた。

 同社では、業容が拡大する一方で、適切な人員配置やシステム投資を行っていなかったと金融庁は指摘する。

 また代表取締役に権限が集中しており、取締役会が開かれず、重要な決定について他の取締役との間で情報共有されていなかった。

 システム担当部署が中国に存在しているが、東京の本社からモニタリングする体制が構築されていなかったことも判明した。

 さらにマネーロンダリング対策については、反社会的勢力についてのデータベースが構築されていないという大きな問題もみつかった。

ビットポイントジャパン

 ビットポイントジャパンは4月18日から立ち入り検査を受け、6項目の業務改善命令を受けた。

 ビットポイントでも、業容拡大に伴う人員やシステムへの投資を怠っていたことがわかった。また利用者の預けた金銭が帳簿上の残高を継続的に下回る状況が予想されると報告されても、取締役会で解消策を検討していなかった。

 顧客確認についても、法人の実質的な支配者の確認といった作業を行っていなかったという。

テックビューロ

 テックビューロは3月8日に続き、2回目の業務改善命令となった。3月の行政処分では、システムに重大な問題があったほか、苦情対応といった顧客保護の対策が整備されていなかったことが問題視された。

 1回目の処分を受けた後も、システム障害が発生する苦情などについて、「組織的かつ計画的な対応が行われていない」状況だった。

 顧客資産の分別管理については。顧客資産と会社の資産を同じウォレットで管理するといった事例も発覚した。