仮想通貨取引所大手ビットフィネックスと仮想通貨USDTを発行するテザー社が昨年12月9日、米商品先物取引委員会(CFTC)から召喚命令を受けていたことが分かった。CFTCが二社に対して召喚命令を出した理由は明らかになっていないが、仮想通貨テザーとその米ドル預託金をめぐる疑惑がますます高まりそうだ。ブルームバーグが日本時間で31日未明に匿名を希望する消息筋の話として伝えた。

 共通のCEO(ジャン・ルドヴィカスヴァンデーヴェルド氏)を持つテザー社とビットフィネックス社を巡っては、ビットコイン価格の市場操作をしているのではないかとする噂が絶えない。コインテレグラフでも昨年からこの疑惑について伝えてきた。

 「テザー社が監査法人と関係打ち切りの噂でUSDT巡る疑惑高まる」2018年1月29日

 「新規USDT発行直後にビットコイン価格上昇の傾向 匿名レポートが市場操作の可能性指摘」2018年1月29日

 ビットフィネックスとテザーが30日にブルームバーグに送信したメールによると、同社は「調査を行う司法及び規制当局からルーチン的に法的手続きを受けることがあるが、それに対してはコメントしない方針」だという。

 今回の新たな報道を受け、ツイッターでは様々な反応が見られた。

 仮想通貨界の著名アカウントであるWhalePandaはテザー社とビットフィネックス社が米国企業ではなく、取引所ビットフィネックスでも米国の顧客を受け付けていないことを指摘。CFTCの監督を受けないと思われる二社に召喚命令を出したことに疑問を呈した。

 また今回の報道が多少影響したのか、もともと低調だったビットコイン価格は日本時間で31日未明にさらに下落している。

 そんな中、ビットコイン基金の創設者として知られるチャーリー・シュレム氏は報道を受けたビットコイン売りを「本当に馬鹿らしい」と批判した。

 というのも、テザー社はUSDTを米ドルに換金する契約上や法的な義務が無いので、信用リスクが高まるテザーからの逃避先は現金ではなくビットコインを含む仮想通貨だけということになるからだ。 

 本記事が作成された時点でテザーは0.998ドルで取引されている。ちなみに先月は1.05ドルで売買されていた。

 ビットコインはこれまでの24時間で約10%下落し、現在1万ドル付近で推移している