仮想通貨ビットコイン(BTC)のライトニングネットワーク(LN)において複数のハブが形成され、集中化が進んでいるという。数学・計算機科学・統計学などの査読前論文(プレプリント)を保存・公開するウェブサイト「arXiv」において、スイス・フランス・イタリア・カナダの研究者チームによる論文「ライトニングネットワーク:ビットコイン経済の中央集権化に向けた第2の道」が2月7日に公開された。

コア周辺モデル

研究チームは、2018年1月18日から、2019年7月13日までの18ヵ月間、BTCのLNの情報を収集。その後研究者らはノード(コンピューター)と富の分布に関してLNを分析したそうだ。

研究者らは、LNがノードの集中化と富の分配の両方で高いジニ係数を示すことを発見した。特にノードが追加されると値が上昇することが分かったという。ジニ係数は、富(所得)などの分布の不均等(偏り)を示す指標。係数の範囲は0から1で、値が大きいほど集団における格差が大きい状態を示す。富が均一で格差がまったくない状態が「0」、1名が集団のすべての富を独占している状態が「1」になる。

LN内の全ノードにわたるBTCの分布も非常に偏りがあることが分かったそうだ。ジニ係数は「0.88」で、BTCの80%を保持するノードの10%に相当するという。

チームの研究目標は、どの理想モデルがネットワークを最もよく説明しているかを理解することだという。研究者らはUBCM(Undirected Binary Configuration Model)を優れた候補として特定したものの、予想以上にLNが集中化していることが分かったそうだ。研究者らは次のように結論付けた。

「これは、BTCのLNがますます集中化されたネットワークになっており、コア周辺構造との互換性が高まっていることを示唆している」

(出典: 「Lightning Network: a second path towards centralisation of the Bitcoin economy」(ライトニングネットワーク:ビットコイン経済の中央集権化に向けた第2の道) 16日目と34日目のLNデータに基づく理想的なネットワークグラフ。青色はハブノードを表す)

UBCMは、複数のハブが存在するような、ある程度の集中化を意味している。実際のLNはそれらハブに過度に依存しているように見えるため、「分割攻撃の標的」になる可能性があると研究者は主張した。

(出典: 「Lightning Network: a second path towards centralisation of the Bitcoin economy」(ライトニングネットワーク:ビットコイン経済の中央集権化に向けた第2の道) 16日目と34日目の実際のLNグラフ。オレンジと赤はハブノードを表す)

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

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