ビットコイン(BTC)価格はクリスマスに史上最高値を上回り、バイナンスでは2万4681ドルに達した。BTCの強力な反発を受け、トレーダーやアナリストは短期的な強気シナリオと弱気シナリオについて議論を行っている。
ビットコインを巡る市場センチメントは依然として圧倒的にポジティブだが、近い将来についてはアナリストからも懸念の声が出ている。そのため、次の値動きの方向性は不透明な状況だ。
ビットコイン先物の資金調達率
ビットコインは比較的小さなショートスクイーズで2万4600ドルを超えるまで上昇した。過去4時間で、9500万ドル相当のショート系契約が清算された。これは、この上昇ラリーがショートスクイーズによって引き起こされていないことを示唆している、ショートスクイーズは、多くのショート契約もしくは売り注文が先物市場で清算されたときに発生する。これは売り注文が過剰にレバレッジされている場合だ。
現在、先物市場は買い手とロング契約保有者によって支配されている。この傾向により、ビットコイン先物取引所での資金調達率は0.1%に達している。資金調達率は、先物市場が市場センチメントに基づいてロングもしくはショート契約保有者にインセンティブを与えるためのメカニズムだ。ロング契約がより多い場合、資金調達率はプラスとなる。つまり買い手側が売り手側にインセンティブに与える必要がある。

一般的に、ほとんどの取引所でのビットコイン先物契約の平均資金調達率は0.01%だ。資金調達率が0.01%の場合、トレーダーは市場の少数派であるショート契約者へのインセンティブとして、ポジションの0.01%を支払う必要がある。ただし、資金調達率が上昇し、ビットコインを購入しているトレーダーが多額の資金調達手数料を支払う必要がある場合、ビットコインをロングする魅了が低下してしまう。
12月25日時点でビットコイン先物の資金調達率は0.1%で推移している。そのため、トレーダーやストラテジストは、ビットコインが少なくとも短期的には、BTCをロングする魅力が低下し、BTCが反落するリスクがあると指摘している。Bitazu Capitalの創業パートナーであるモヒト・ソロー氏は、ビットコインの資金調達率が非常に高いと述べ、反落の可能性が高いと指摘している。ソロー氏は「BTCがここから上昇し続けたら、本当に驚くべきことだ」と述べている。
仮想通貨デリバティブトレーダーのエドワード・モッラ氏も同様の見方を示している。彼は、先物市場の多くのトレーダーは、ビットコインが2万4400ドルに達したあと、ロングや買いを始めたと付け加えている。モッラ氏は、下落が起こることで、調整によって資金調達率がリセットされるだろうと予想している。

しかし、一部のトレーダーは、強気市場が進行中において資金調達率が重要であるという見方には同意していない。仮想通貨トレーダーの”Sals Tekila”は、2017年の強気相場ではBTCの資金調達率は0.375%だったと述べている。現在の価格は2017年の水準を大きく超えているが、上昇ラリーのまだ初期段階であることを考えれば、資金調達率だけで天井を予測するのは正確ではないかもしれないと指摘している。
短期的なビットコインの強気シナリオ
ビットコインの短期的な強気シナリオは、2つの大きなファクターに基づいている。機関投資家によるビットコインの蓄積と、アルトコインとビットコインとの関係だ。アルトコインがBTCに遅れを取っている一方で、グレースケールへの流入が増加しているため、この傾向が続いていれば依然としてビットコインは強気というわけだ。
CryptoQuantのキ・ヨンジュCEOは、機関投資家の購入が鈍化したときにビットコインが調整されるだろうと予想している。そのため、グレースケールの資産運用額とCMEの先物データを評価する必要があるという。キ氏は「機関投資家の買いが止まったとき、価格は急落するだろう」と述べ、それまでは強気バイアスを維持すると書いている。つまり、新しい最高値は、機関投資家がBTCの購入を止めた時に決まるということだ。
グレイスケールによると、同社の運用資産総額は163億ドルであり、そのうち140億ドル超がグレイスケールビットコイントラスト(GBTC)からのものだ。GBTCは、米国においてはビットコイン市場での機関投資家の最初の入口となっていることが多いため、GBTCの運用資産額は機関投資家のBTCに対するセンチメントを測るための指標とみなされている。
機関投資家によるビットコインの強力な蓄積と、アルトコインの市場流動性が乾いていることが組み合わさって、ビットコインの強気相場を後押ししている。オンチェーンの市場分析を手掛けるSantimentは、「新年が近づくにつれ、BTCとETH以外の仮想通貨の大部分で流動性が急速に低下した」とツイートしている。これは、仮想通貨への関心のほとんどが依然としてビットコインに集中していることを示している。
Material Indicatorsによる取引所ヒートマップによると、ビットコインの次の大きなレジスタンスは2万5000ドルと3万ドルだ。この2つのレベルを超えたところで売り注文が集中しており、このレジスタンスに達すれば、一時的な調整が発生する可能性がある。それまでは機関投資家の根強い需要と、アルトコイン市場の遅れによって、ビットコインのセンチメントは強気が続く可能性がある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン