ニューヨークで行われた「ビットコイン・ディベート」で、米国の株ブローカーであるピーター・シフ氏と仮想通貨コメンテーターのエリック・ボールヒーズ氏がビットコインの未来について議論をした。両者の意見は、未来の通貨はビットコインなのか、金なのかをめぐって分かれた。

 ビットコイン懐疑論者シフ氏は、ビットコインが将来成功することはないし、法定通貨にとって代わることもない。なぜならほぼ投機目的という買い手の「自信」以外に何にも裏付けられていないからだ。シフ氏は、これに対して金はかつてドルを支えていたことがあるから、長年にわたって信用され続けていると主張。金はビットコインを含めた他のどんな資産とも競争する必要がないし、ビットコインは金の全ての特性を模倣しているが、最も大事な性質「メタルであること」の模倣には失敗していると指摘した。シフ氏は、金に価値がある理由として「レアであって商品として数千年間評価されてきた」ことを上げた。

 シフ氏は、他の金の支持者が言うようにビットコインは金や他の商品ベースでどのくらい価値があるのか分からないことに懸念を示した。また、複数の異なる仮想通貨が共存していることが仮想通貨にとって弱点になると主張。「金はたった一つしかない。もう一つの金が出現することはない」が「他の仮想通貨はビットコインと全く同じ性質を持っている」と指摘した上で、次のように述べた。

 「現在ある1500ほどの仮想通貨でもビットコインと同じことができる。一部はむしろビットコインより使いやすく、速く、安い。しかも将来的にも新たな仮想通貨が作られる可能性がある」

 そしてシフ氏は次のように結論づけた。

 「もし未来が見たいなら、過去を訪れるべきだ。未来の通貨は金だ」

 ただシフ氏は、もし仮想通貨が金に裏付けされたら、それは「成功できる唯一の仮想通貨」になるだろうと付け足した 

 一方、ビットコイン擁護論者であるボールヒーズ氏は、ビットコインはいつか国に裏付けられた通貨の代わりになるだろうと話したほか、政府の組織がブロックチェーン技術で再編されるだろうと主張。ビットコインは「最高に良い通貨」とし、計算された不足、分割可能性、耐久性、代替可能性、持ち運びやすさ、分散型の仕組みを称賛した後、次のように述べた。

 「ビットコインは勝利を収めるだろう。なぜなら今は通貨間での競争が生まれていて、ビットコインが一番良い通貨だ。なぜなら分散化されていて、止めることができないからだ」

 今後についてボールヒーズ氏は、ビットコインはすぐには普及しないだろうが、ビットコインは「シンプルに段階的に法定通貨にしばしば取って代わる存在になるだろう」という見解を示した。