国際決済銀行(BIS)が11月24日に発表した報告書によると、アフリカの中央銀行総裁の多くは、CBDC(中央銀行デジタル通貨)に大きな信頼を寄せている。また、BISによると、アフリカの中央銀行総裁たちは、世界の他の地域の銀行総裁たちよりも金融政策を実施するうえでCBDCにより大きな有用性を見出しているという。

報告書の根拠となった調査には19のアフリカの中央銀行が回答しており、いずれも前向きにCBDCに関心を寄せていると述べている。ナイジェリアのみが、公共利用を目的としたリテールCBDC(個人が主に企業や店舗などに支払う)「eナイラ」を発行しており、ガーナがリテールCBDCのパイロットプロジェクトに取り組んでいるほか、南アフリカは現在、機関向けのホールセールCBDC(金融市場で金融機関の間で取引を行う)のプロジェクトを進めているところだ。

アフリカの中央銀行の回答者の48%が、CBDC導入の主な動機として現金の準備を挙げていた。CBDCを導入することで、紙幣や硬貨の製造、輸送、保管にかかる費用を節約できるという。金融包摂については、すべての回答者が言及していた。アフリカの成人人口のうち、銀行口座を保有している人は、21年で半数未満だった。

サハラ以南のアフリカは、世界の送金量の3分の2を占め、全利用者の半分以上を占めている。CBDCがこの分野に参入すれば、競争が改善され、コストが下がる可能性があると、報告書は指摘している。CBDCは「新しいデジタル技術とそれらの広範な経済との統合を支援する」ことが見込まれる。

CBDCの発行と運用は大変な作業である。

「ここでアフリカの中央銀行は、ネットワークの回復力、テクノロジーのコスト、可用性、併用可能性、拡張性、機能性といった他のEMEs(新興市場経済国)と非常に類似した側面を強調している。このような複雑なシステムの運用コストは高額である」

これに加えて、複数の中央銀行総裁から、サイバーセキュリティに関する懸念や普及率の低さというリスクも挙げられていた。また、銀行総裁たちはCBDCが金融政策の実施に役立つと期待しているが、銀行間の仲介機能がなくなることを懸念事項のひとつに挙げていた。送金コストは、設計上の大きな懸念事項となっていた。