仮想通貨取引所バイナンス.USとその創設者のジャオ・チャンポン氏(通称CZ)は、過去1年間で米国の規制当局から厳しい調査を受けており、これを受けて同氏の持ち株を減らす方法を探していると報じられている。
The Informationの5月11日の報道によれば、仮想通貨業界を代表する起業家であり、バイナンス.USの大株主であるCZは昨夏以降、米国に拠点を置くこの取引所での持ち株を減らそうとしていたという。
過去1年間、バイナンスとジャオ氏は、米国の連邦規制当局から厳しい取り締まりを受けてきた。3月には、米商品先物取引委員会(CFTC)はバイナンスに対して訴訟を提起し、同社が米国で違法に営業しており、米国の顧客を大量に勧誘して法律を破ったと主張した。
この訴訟で、バイナンスは米国の法律を故意に回避し、「規制アービトラージの計算された戦略を通じて商業利益を得ている」と告発された。訴訟に対する反論として、バイナンスは規制順守を主張し、コインテレグラフに対し、「リスクとコンプライアンスに対する堅牢な『三線防衛』アプローチを実施している」とコメントしていた。
その後、バイナンス.USの幹部は、ジャオ氏が大株主である限り、特定の規制ライセンスを取得できない可能性があることを懸念し、ジャオ氏の持ち株と影響力を減らす方法を探していたと報じられている。
コインテレグラフは、バイナンス.USとジャオ氏に関連する問題についてのコメントを求めて、グローバル取引所バイナンスに問い合わせたが、バイナンス.USとCZ氏個人および米国取引所の大株主についてのコメントはなかった。バイナンス.USからは、記事執筆時点では返答が得られなかった。
2月には、米証券取引委員会(SEC)はバイナンスのステーブルコインBUSDの発行者であるパクソスを訴え、これによりBUSDのミントが終了した。その一方で、規制当局は破綻した仮想通貨貸付企業ボイジャーデジタルの資産に対するバイナンス.USの入札承認に異議を申し立てた。
SECは銀行や証券ブローカーと同じ厳格な規制の下に仮想通貨取引所を置くことを目指しているようだ。
その結果、米国からの企業流出が懸念されている。最近のSECの取締り強化を受けて、コインベース、ジェミナイ、リップル。ギャラクシーデジタルなどの主要なプレイヤーが海外への移転を検討しているとも言われている。
他の主要な取引所であるクラーケンやビットトレックスは、仮想通貨に対する締め付けが厳しくなる中、すでに完全または部分的に米国でのサービスを停止している。