米証券取引委員会(SEC)と仮想通貨取引所バイナンスは、両者の間で続く約2年にわたる法廷闘争について、さらに60日間の一時停止を求める共同申請を行った。

4月11日付でコロンビア特別区連邦地裁に提出された共同報告書の中で、両者は次のように述べている。「本件が停止されて以来、当事者間では建設的な協議が継続されており、その中には、SECの仮想通貨タスクフォースの取り組みがSECの主張にどのような影響を及ぼすかに関する議論も含まれている」。

SECが延長を要請、バイナンスも同意

申請書によると、SECが60日間の延長を要請し、バイナンス側もこれに同意した。「被告側も、訴訟の一時停止を継続することが妥当かつ司法資源の節約に資すると認識している」と、共同申請書には記載されている。

この申請に先立ち、SECは直近でコインベース、クラーケン、ジェミナイ、ロビンフッド、コンセンシスといった複数の仮想通貨関連企業に対する訴訟を取り下げている。

今回の延長が終了する60日後には、SECとバイナンスが新たな共同報告書を提出する予定となっている。両者による60日間の一時停止の申請は、今年に入ってから2回目であり、前回は2月11日に裁判所によって認められている

ゲンスラー氏退任と仮想通貨タスクフォースの発足が背景に

前回の一時停止申請は、仮想通貨に懐疑的だったゲイリー・ゲンスラー氏が1月20日にSEC委員長を退任し、親暗号資産派とされるマーク・ウエダ氏が委員長代行に就任した直後に提出された。

当時の申請でも、SEC内に新設された仮想通貨タスクフォースが申請理由の1つとされていた。

このタスクフォースは、ゲンスラー氏の辞任翌日となる1月21日に設立され、「SECが明確な規制線を引き、現実的な登録ルートを提供し、合理的な情報開示枠組みを構築し、執行リソースを適切に配分する」ことを目的としていると発表されている。

訴訟は2023年に始まる

SECによるバイナンスに対する訴訟は、2023年6月に始まった。同訴訟では、バイナンス本体と米国プラットフォーム、そしてCEOのチャンポン・ジャオ(通称CZ)氏に対して13件の違反が提起されている。

具体的には、BNBトークンおよびバイナンスUSDトークンの未登録販売、シンプルアーンおよびBNBボルト商品、ならびにステーキングプログラムの提供などが、証券法違反として指摘されている。