仮想通貨取引所バイナンスの研究部門バイナンスリサーチは1日、米大手銀行のJPモルガン・チェースが発表したJPMコインは、近い将来においてリップルのXRPと直接的な競争相手にはならないというレポートを発表した。JPMコインの狙いがクロスボーダー(国をまたいだ)送金市場を狙っていることから、既存のプレイヤーであるSWIFT(国際銀行間金融通信協会)やリップルにとって脅威になるのではという見方が出ていた。

バイナンスは、まずJPMコインについて、次のよう解説した。

「JPMコインは、JPモルガンの既存の顧客層に基づき世界中でかなり広範に展開できるようになるが、そのネットワークは現在のところ内部の顧客に限定されているシティグループのような競合がJPMコインを使って決済できるようになるとは考えにくい。近い将来シティグループ・コインが登場する場合は特に難しくなるだろう」

その上でバイナンスは、「JPMコインは大手の伝統的な銀行同士が行う決済の効率やスピードを解決するわけではない」と結論づけた。

一方、リップルについてバイナンスは、とりわけリップルの決済サービスの一つxRapidのインフラに注目し、XRPが法定通貨/仮想通貨とマイルやポイントなどのプロダクトの間に存在する「仲介通貨」として機能すると指摘。XRPは、伝統的な金融市場における米ドルのような役割を果たすとし、ブリッジとしてJPMコインのような閉鎖されたネットワーク同士を互いにつなげる役目を担うだろうと解説した。

「全体的に、2つのプロジェクトは短期的には異なるフォーカスを持ち、利用に関して異なる可能性を持っているようだ」

バイナンスは今後JPMコインが閉鎖的なシステムをどの程度抜け出すかが、リップルの競合となるかを決めると述べた。

以前、リップルのガーリングハウスCEOも今回の同じような見解を出していた。

ガーリングハウスCEOは先月16日、JPMコインについて「肝心な部分がわかっていない」と批判。「今日、閉鎖的なネットワークを導入することは、まるでNetscapeのIPOの後にAOLを立ち上げるようなものだ」と述べた。また2016年の時点で今回のバイナンスと同じように「各銀行がそれぞれ独自の仮想通貨を発行する」と予測。その場合は、「異なる仮想通貨を持つ銀行同士の取引プロセスはますます複雑になる」と分析していた