大手仮想通貨取引所バイナンスは10日、バイナンスUSD(BUSD)のラップドトークンであるバイナンスペッグBUSDが「BUSDに完全にバックアップされているようではない」というブルームバーグの報道について、ブログ記事で解説した。

イーサリアム・ブロックチェーン上のBUSDは、ニューヨークを拠点とする金融技術企業パクソスが発行し、米ドルによって完全に担保されているステーブルコインだ。一方で、バイナンス独自のブロックチェーンであるバイナンス・スマートチェーン上のBUSDは、バイナンスペッグBUSDと呼ばれる。バイナンスはパクソスで発行されたBUSDがロックされた後、バイナンス・スマートチェーン上でバイナンスペッグBUSDとして流通させている。このバイナンスペッグBUSDは外部の監査された企業によって規制されているわけではない。バイナンスは、バイナンス・スマートチェーン上のBUSDの正当性を確保するために、パクソスの規制を受けたBUSDで完全に担保して保持していると主張している。

ブルームバーグはこのバイナンスが主張してきた担保が不足することが頻繁に起きていることを指摘した。

バイナンスは、報道の根拠は、「バイナンスペッグBUSDをBUSDで裏付けるタイミングの不一致」だと釈明。ブルームバーグの報道によると、ChainArgoの共同創業者であるジョナサン・レイター氏が、すべてのバイナンスペッグBUSDを裏付けるのに必要なBUSDが格納されているはずのイーサリアム上のウォレットには、バイナンス・スマートチェーンで流通しているバイナンスペッグBUSDの量より低い残高を定期的に保持していたことが判明したという。バイナンスペッグBUSDは2020年から2021年にかけて担保不足になることが多く、そのギャップは10億ドルを超えることもあったという。

バイナンスの広報担当者はブルームバーグに対し、「ペッグを維持するプロセスには多くのチームが関わっており、常に完璧というわけではなく、過去に運用の遅れが生じた可能性がある」と述べている。

しかし、同取引所によると適切な担保を集める過程で遅れが生じたこともあるが、ペッグは修正されてきているという。

「データのばらつきにもかかわらず、いかなる時点でもユーザーにとって償還の影響はなかった。また、NYDFSによって規制され、毎月監査され、USDの現金と現金相当の準備金によって支えられているPaxosによって発行されたERC-20のBUSDへの影響もない」