仮想通貨取引所バイナンスの共同創設者兼CEOのジャオ・チャンポン氏(通称CZ)の資産が、バイナンスでの取引高の低下を受け、119億ドル減少した。

ブルームバーグ・ビリオネア指数は、取引量の低迷を受けてバイナンスの収益見積もりを38%下方修正し、ジャオ氏を富豪リストの95位に引き下げた。

ジャオ氏の資産は現在173億ドル、2022年1月の969億ドルのピーク時から82%減少している。当時、ジャオ氏は世界で11番目に裕福な人物とされていた。

ジャオ氏の純資産の推移. Source: Bloomberg

ブルームバーグの指数は、仮想通貨データ集計サイトのコインゲッコーとコインパプリカでのスポット取引とデリバティブ取引のデータを元にバイナンスの収益を推定した。

9月時点で、バイナンスのスポット取引の市場シェアは7か月連続で減少し、34.3%となった。1月時点ではバイナンスのスポット市場シェアは55%以上だった。

米国に拠点を置くバイナンスUSも、先月に取引高が過去最低を更新した。ジャオ氏の資産の急落とバイナンスの取引高の減少は、米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)からの訴訟を受けてのものだ。

SECは6月にジャオ氏、バイナンス、バイナンスUSを訴え、取引所が違法に運営され、未登録の証券を販売し、顧客資産を不適切に取り扱ったとして告発した。ジャオ氏はその「支配的な人物」として名指しされた。

CFTCは3月に訴訟を起こし、バイナンスが適切に登録を行っていないと主張した。ジャオ氏とバイナンスは両規制当局の主張を否定し、両訴訟の却下を求めている。

一方、仮想通貨業界のライバルだったサム・バンクマン-フリード氏は、2022年11月のFTXの破産申請を受け、160億ドルの財産が事実上消滅した。

一部の人々は、FTXの危機がジャオ氏がバイナンスがFTXトークン(FTT)の保有分を売却するとツイートしたことで引き起こされたと考えている。ジャオ氏は当初、苦境に立たされたFTXを買収する意向を示したが、48時間も経たないうちにその方針を撤回した

バンクマン-フリード氏は10月26日に自身の刑事裁判で証人台に立ち、詐欺など7つの罪状に対して無罪を主張している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン