バイデン米大統領は、債務上限問題に絡み、共和党から仮想通貨トレーダーに有利となる提案に関して反対を表明した。バイデン大統領はG7サミットに出席し、共和党の提案を記者会見で「受け入れがたい」と非難した

「富裕税の逃避と仮想通貨トレーダーを保護する一方で、100万人近いアメリカ人の食事支援を危険に晒すような合意は絶対にするつもりがない。」

共和党が主張する仮想通貨トレーダー保護とは、米国で適用される、損失を活用した節税(Tax Loss Harvesting)へ仮想通貨取引を適応させることだ。

ワシントンポストによると、ホワイトハウスと共和党の間で、仮想通貨取引のこのメカニズムについて議論が続いているという。仮想通貨での損失を活用した節税とは、投資家が全体的な税負担を軽減する戦略で、仮想通貨を損失を出して売り、他の仮想通貨の利益から資本利得を相殺する。損失を申告するには、資産を売却し、その売却額を30日前後で類似の資産を購入するために使用しなければならない。このメカニズムは、株式やその他の資産でも利用可能で米国では一般的な節税方法だ。

ホワイトハウスは仮想通貨に対する損失活用節税の廃止とともに、不動産スワップに対する税金の延期を禁止する提案を共和党に投げかけている。両方の変更により、米国政府は約400億ドルの税収を得ることが見込まれる。

しかし、共和党はこれらの提案を拒否していると、情報源がワシントンポストに伝えている。共和党のハウス議長であるケビン・マッカーシー氏は、アメリカの債務増加は「収入問題ではなく、支出問題」であり、バイデン政権の過度なパンデミック時の支出を批判。一方、ホワイトハウスは、前政権からの減税により、税収が大幅に影響を受けていると主張している。

共和党は連邦機関の予算を、直接影響する4800億ドルの支出削減で赤字を解消しようとしている。議会が債務上限を引き上げることができなければ、アメリカは6月1日にもデフォルトする可能性がある。バイデン大統領は広島からワシントンD.C.への飛行中にマッカーシー氏と電話で話すと報じられている。

債務上限は1917年から存在し、連邦政府が借金を支払うために国債を借り入れることができる金額の上限を議会が設定している。