日本銀行の黒田東彦総裁は16日、金融庁と日本経済新聞社が共催したフィンテックをテーマにした国際イベント「FIN/SUMフィンサム」にビデオメッセージを寄せ、中央銀行デジタル通貨について「この春からはいよいよ実験を開始する予定」とスケジュールを再確認した。

日銀のCBDCについてはこれまでに、2021年中に概念実証を開始する予定と明らかにしていたが、黒田総裁が改めて強調した形だ。

黒田総裁は「日本銀行として、現時点でCBDCを発行する計画はないとの考え方に変わりはありません」としつつも、決済システム安定性と効率性を確保するため、今後の環境変化に対応できるように対処する必要があると述べた。

さらに、世界的にデジタル社会を迎える中で中央銀行として中央銀行が発行するお金をどのような形で提供していくかを考えるべきだとし、中央銀行のサービスを提供するあり方として「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス(Central Banking as a Service)」を考えていきたいとした。

こうした「アズ・ア・サービス」は、特にソフトウェア業界から発生した流れでありつつも、金融業界でも一つの流れになっていると指摘。バンキング・アズ・ア・サービスと呼ばれる動きについて「最近では、金融機関がこれまで一体提供してきていた金融サービスをアンバンドリングし、非金融企業の事業サービスに組み込めるような形で提供する動きがあります」と紹介した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン