中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)プロジェクトは、試験段階で140億ドル(1000億4000万元)に迫る取引を達成した。これにより、デジタル人民元は、世界で最も広く採用されているCBDCとなった。

中国人民銀行の公式WeChatページの投稿によれば、夏の終わりまでに、CBDCの試験的枠組みの中で行われた15の省・市での取引は3億6000万件に達している。投稿によると、すでに560万店以上の加盟店が法定通貨としてデジタル人民元をサポートしている。

この試みは、一部の政府機関にも広がりつつあり、市民の決済を幅広くカバーしている。「複数の電子政府サービスプラットフォームがデジタル人民元決済サービスを開設し、オンラインとオフラインのチャネルをサポートして各種公共料金の支払いを処理している」という。

金融規制当局は、香港と中国本土の間のクロスボーダー決済のテストを開始するほか、国際決済銀行(BIS)と協力して多国間デジタル通貨ブリッジプロジェクトに積極的に参加するとしている。またユーザーの個人情報を保護するために「少額なら匿名、高額なら追跡可能」という原則を守ることなどの方針を示した。

2020年4月に最初のCBDCの試験運用を開始し、中国人民銀行は最終的に現金をデジタル人民元に置き換えることを目標としてきた。2022年9月には、デジタル人民元の導入を広東省・江蘇省・河北省・四川省の4省に拡大する計画を明らかにした(それ以前は、個別の都市でのみ試験運用が行われていた)。