世界最大のATM運営業者カードトロニクス(本社・テキサス)が仮想通貨を自社事業への大きなリスクの1つと見なしているようだ。最新の年次報告書で明かした。
同社が米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書によると、消費者行動を分析したところ、紙幣という従来の物理的な手段よりも電子的な決済方法が多く選ばれていることが分かったという。
「携帯電話による支払いや非接触型決済といった電子決済の利用が引き続き伸びているため、市場での現金の必要性が減り、最終的にはATM利用の落ち込みにつながりかねない」というのが同社の見解だ。
カードトロニクスは現金の需要が全般的に落ちている原因として、上記の決済手段のほか、ビットコインのような仮想通貨が原因となっている可能性について特に言及している。それらすべての要因が合わさり現金の取扱量が減少する、と同社は分析している。
デジタル経済の発展を背景にした「現金離れ」は現在世界中で大きなトレンドだ。
昨年10月、スウェーデンはキャッシュレス社会を目指す意思を表明。同国にある1600の銀行店舗のうち、900店が既に現金を蓄えておらず現金での預金も認めていない。
デンマーク商工会議所はスウェーデンに先がけ、ほとんどの小売業者で客の現金払いを合法的に拒否できるようにする案を打ち出した。ニュースサイト「Ideals」によれば、3分の1近くのデンマーク人が取引手段として「MobilePay」アプリを使っている。
時を同じくして、テキサスを拠点とするアジア最大手のATMメーカー「ヒョースン」(曉星)は、海外市場向けモデルにビットコイン機能を搭載した。数百万人のユーザーが、ビットコイン売買のために現金を引き出したり、預けたりできるようになる。