麻生太郎財務相は23日、サウジアラビアの首都リヤドで開かれている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で記者会見し、中国政府が計画しているデジタル人民元について「危険が大きい」と懸念を表明した。ブルームバーグが報じた

麻生大臣は「中銀が発行するデジタル通貨(CBDC)は、よほどのきちんとした規制をしたものでなければ危険が大きい」と話した。そして、デジタル人民元が今年中にも発行されるとの憶測があることについては、「少なくとも今の段階での発行は『ちょっと待ってくださいよ』」と言わざるを得ないと発言した。

さらに中国が突然デジタル通貨を止めてしまい、世界経済に混乱を引き起こす事態は避けなければならないとし、各国にリスクを認識するように呼びかけたという。

麻生大臣はこれまでにも全国銀行協会の賀詞交歓会でデジタル人民元に「国際決済で使われることを頭に入れておく必要がある」と言及し、警戒感を示している。

中銀発行のデジタル通貨については日銀やECBなど6中銀が共同研究を進めており、今年4月の会合で議論する場を設ける予定だ。中国人民銀行はこの中に含まれていない。

ステーブルコインのリスク精査

G20ではフェイスブックのリブラのような「グローバルステーブルコイン」の発行に伴うリスクを精査し、発行前に適切に対処する必要性を強調した共同声明を発表。金融安定理事会(FSB)が取り組む規制上の提言作成を支持するとし、仮想通貨や関連業社へFATF基準を実施することを促すとしている。

麻生大臣はステーブルコインについては「サービス開始前に吟味と対処が必要」との見解を示した上で、送金手数料がかからない点で需要があることなどから「金融分野におけるイノベーションになる」と発言。

ただ、マネーロンダリングの抜け穴になる可能性が高いことなどから利用者の安全性担保が必要だとの見解を示した。

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