ステーブルコイン採用の次の波を主導するのは、人間ではないかもしれない。パクソス・ラボ共同創業者のバウ・コテチャ氏は、AIエージェントが「決定的要素(Xファクター)」となり、瞬時に最も効率的な発行体へ流動性を移動させ、市場の断片化をむしろ利点に変える可能性があると語った。
米国でステーブルコインに関する明確な規制が成立したことを受け、ステーブルコインの時価総額は3000億ドルを突破し、仮想通貨の中心的なテーマとなっている。しかし、発行体や法域ごとに分断が進んでいることは依然として課題となっている。
テザーやサークルといったドル連動型の大手から、エセナのような合成資産、消費者決済を狙うペイパルのPYUSDまで、多様なプレイヤーが参入する中で、この断片化が業界にとって問題となるのではないかという疑問が浮上している。
AIエージェントが断片化を解決?
コテチャ氏は「断片化は諸刃の剣だ」と語る。各事業者が独自のモデルを競わせ、自社に適したステーブルコインを発行することで「流動性のサイロ化やユーザーの混乱を招き、採用の妨げになるリスクがある」と指摘した。
しかし、同氏はAIエージェントの登場がこの問題を解決すると考えている。AIエージェントとは、人間の入力を必要とせずに意思決定を行い、資金移動や取引などを実行する自律的プログラムだ。
コテチャ氏は「AIエージェントは経済性が最も優れたステーブルコインに即座に切り替えるだろう」と説明する。
「つまり、断片化は必ずしも障害にはならない。むしろ市場全体の最適化要因となり、AIが最も効率的な発行体に流動性を流すことで、時間とともに手数料を圧縮し、発行体がファンダメンタルズで競争することを強いることになるだろう」
仮想通貨におけるAIエージェントの台頭
ステーブルコイン採用におけるAIエージェントの重要性を強調するのはコテチャ氏だけではない。
9月2日、香港で開催されたゴールドマンサックスのアジア・リーダーズ・カンファレンスでのブルームバーグとのインタビューで、ギャラクシーデジタルの最高経営責任者マイク・ノボグラッツ氏は、AIエージェントがステーブルコインの主要ユーザーになると述べ、取引高の急増を予想した。
ノボグラッツ氏は「そう遠くない未来には、AIエージェントが日常の買い物にステーブルコインを使うようになる」と語り、食生活や予算を理解した食料品エージェントが自動的に買い物かごを埋めるといった例を挙げた。
また、これらのAIエージェントは送金やVenmoのような決済アプリではなく、ステーブルコインに依存するだろうと述べ、今後数年で「ステーブルコイン取引の爆発的増加」を見込むとした。
クラウドフレアもAI対応ステーブルコインに参入
このビジョンをすでに追求している企業のひとつが、グローバルなクラウドインフラ企業クラウドフレアだ。9月25日、同社はAIエージェントによる即時取引を可能にするステーブルコイン「NETドル」の開発を発表した。
クラウドフレアは、このステーブルコインの構想として、AIエージェントが瞬時に行動し、最安値の航空券を予約したり、商品のセール開始と同時に購入したりする姿を描いている。
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