ビットコイン(BTC)、イーサ(ETH)と仮想通貨市場は、価格の観点から見ると荒れた2022年だったが、トレーダーは2023年に仮想通貨価格を押し上げる強気の展開があることを期待している。

市場全体の低迷にもかかわらず、一部のアルトコインは仮想通貨空間に積極的に貢献し続けている。

2022年に活躍したトップアルトコインを探ってみよう。

イーサリアムのファンダメンタルズ

イーサの価格は1月2日に3,835ドルで年初来高値を更新し、弱気相場などのマクロ要因の中で足元を固めようとしている。イーサリアムネットワークが2022年のトッププロジェクトであるのは、イーサの値動きではなく、そのファンダメンタルズとメインネットのアップグレードを完了させたからだ。イーサリアムのマージは2022年9月15日に完了した。多くの人がプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へのマージが問題を引き起こすと懸念したが、移行は問題なく行われた

PoSの主な利点は、トランザクションを検証するために高価でエネルギー集約的なハードウェアを必要としないため、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)よりもはるかにエネルギー効率が高いという点だ。これにより、エンドユーザーの利用コストが削減され、イーサリアムの長期的な成長にとって、より持続可能でスケーラブルなソリューションとなる。また、マージはイーサリアムネットワークのエネルギー消費量を99.9%以上削減したという。

一部のアナリストは、発行量がデフレ傾向にあることから、マージ後のイーサに強気な見方をしている。ただネットワークではデイリーアクティブユーザーが増加しているが、イーサ価格はまだ年初来高値から下落している状態だ。

2023年、投資家はネットワーク上のトランザクションの増加がイーサの需要を高め、それがアルトコイン価格の上昇につながると期待している。

Lidoはステーキングを大衆化

Lidoは、ステーキングの簡単なインターフェースを提供することで、ユーザーがバリデーターとしてイーサリアムのPoSに参加しやすくしている。

ローンチ以来、LidoはステークされたETHプロトコルから1億5880万ドルの手数料を得ている。ピーク時の9月17日、Lidoのデイリーアクティブユーザーは823人だった。

Cumulative Lido fees and daily active users. Source: TokenTerminal

イーサリアムネットワークの「シャンハイ」ハードフォークは2023年3月に予定されており、Lodoは忙しい第1四半期を迎えることになるだろう。プラットフォームにステーキングされたすべてのイーサが引き出される可能性もある。Lidoプロトコルの生みの親であるAztecは最近、暗号化されたブロックチェーンを構築するために1億ドルの資金調達ラウンドを確保している

ポリゴンのパートナーシップ拡大

仮想通貨の大量採用には、伝統的な企業やブランドが仮想通貨に関与することが必要だ。ポリゴン(MATIC)はパートナーシップに大きな力を注いでおり、2022年に開発された関係には、ワーナーミュージックJPモルガン、インスタグラム、ウォーレン・バフェットのネオバンクなどがある。

これらのパートナーは、ポリゴンのネットワークを自社のインフラに統合したり、ポリゴンを使って自社の製品やサービスに分散型台帳技術(DLT)を統合するなど、さまざまな形でポリゴンを利用している。

様々な企業も、ポリゴンでNFTを開始することを選択した。トランプ元大統領、Reddit、DJ Deadmau5、NikeがポリゴンでNFTコレクションを立ち上げている。

一部のトレーダーは、オンチェーン指標とパートナーシップの数々により、MATICで200%の上振れを予想している。ただポリゴンの成長にもかかわらず、イーサリアムのネットワークが方がいまだ多くの手数料を取っている状況だ。

Daily fees comparing Polygon (Orange) and Ethereum (Green). Source: TokenTerminal

ステーブルコインDAIの回復力

アルゴリズム型ステーブルコインのペッグが外れて大混乱した年に、Dai(DAI)は回復力を示した。中央集権型のステーブルコインとは異なり、DAIは透明性、検閲への耐性、従来の金融システムの外で運用する能力を提供する分散型ステーブルコインだ。

DAIは仮想通貨業界で新しいものではないが、国債や債券などの低リスク資産のエクスポージャーを増やすという決定により、トップアルトコインとしての地位を獲得している。仮想通貨リサーチャーであるセバスチャン・デリヴォー氏の分析によると、この決定がDAI全体の収益の75%にあたる。

コスモスのアップグレードCosmos upgrades attract institutional investors’ attention

2022年、コスモス(ATOM)はブロックチェーン間に存在する相互運用性と通信の課題を解決することに焦点を当てていた。1月1日、コスモスのアクティブな開発者は74人で、この数字は2倍以上に増え、11月30日には154人に達している

クロスチェーンを巡って問題が続出した今年、コスモスのブロックチェーン間通信プロトコル(IBC)は今のところ嵐を乗り切っているように見える。デルファイ・デジタルのリサーチ部門は、9月のレポートでコスモスのエコシステムに注目している。

Cosmos fees and developer activity. Source: TokenTerminal

コスモスは仮想通貨エコシステムの重要なインフラストラクチャー層となる可能性を秘めており、異なるブロックチェーンネットワーク間の価値と情報の交換を促進し、より相互運用性の高い未来を実現するのに貢献する可能性がある。

2022年は仮想通貨投資家にとって忘れたい年かもしれないが、大量採用につながるポジティブな出来事も起こっている。開発に力を入れたアルトコインが、2023年以降も仮想通貨の未来を推進することになるだろう。