前大統領で仮想通貨嫌いとしても知られる、ドナルド・トランプ氏が奇妙なNFT(非代替性トークン)コレクションプロジェクトを発表した。だが保守派や熱心なMAGA支持者でさえ、突然のNFT発表に困惑しているようだ。

トランプ前大統領は12月15日、自身のソーシャルメディア「Truth Social」を通じて「重大発表」と称し、ゴルフウェア、ハンティングギア、スーパーヒーローのコスチュームなどさまざまな衣装を着た自身を描いたアートワークのNFTトレーディングカード4万5000枚のコレクションを公開した。

PolygonベースのNFTは、1トークンあたり99ドルで販売されており、購入者は、トランプ氏との1対1のディナー、Zoomでの通話、トランプ氏とのゴルフラウンドなどの「1000もの賞品」を含む懸賞に自動的に応募することができる。

記事執筆時点では、Openseaで二次流通しているトランプ・デジタル・トレーディングカードは約35,600枚で、フロア価格は0.065Ether(ETH)、つまり82ドルとなっている。

NFTコミュニティの人々の報告によると、これまでの最大の売却額は1ETH(1270ドル)から2ETH(2541ドル)の間であったとのことだ。

今回のトランプNFTについて、アナリストのエリック・ウォール氏は、「SimpDAO」のコンセプトと類似したものだと説明している

「SimpDAO」という言葉は、仮想通貨インフルエンサーのアイリーン・ジャオ氏が1月にIreneDAOを立ち上げた後に作られた造語だ。このNFTプロジェクトは、「Simps」と呼ばれるファンに、アイリーンとの絆を深めるためのミート&グリート、電話などの特典を得る方法を提供している。OpenSea上だけで、これまでに330万ドル相当のNFT売上を記録している

バイナンスのCEOであるチャンポン・ジャオ氏は政治的なことを無視して、このプロジェクトの意義を強調している。「元アメリカ大統領がNFTを発行している。そして彼は以前は仮想通貨が好きではなかったが、私たちはそこまで到達している」。これに対し、ビットコイン推進派でツイッター創設者のジャック・ドーシー氏はジャオ氏に「一体どこに到達したんだ?」とリプしている。

トランプ氏の極端な動きは支持者に受け入れられることが多いが、今回は意外と支持されていないようだ。

極右のインターネット・アカウントで議事堂暴動に参加したBaked Alaskaは「NFTのセールスマンのために刑務所に行くなんて信じられない」とつぶやき、保守系コンテンツ制作者のHodgetwinsも落胆の声を上げた。

「愛国者が求めているのは国の未来への希望なのに、トランプが『BIG ANNOUNCEMENT』と言って、みんなを熱狂させたわけだが、それから(彼は)『発表』として低品質のNFTコレクションビデオを出してきた。それは人々を離れさせるだけだ...くそが」と書いている。