ビットコイン(BTC)は今年、見事な2桁の上昇を見せたが、最近、45,000ドルのレジスタンスを破るのに苦労している。このレベルは、何度も簡単に突破されているため、歴史的な重要性を持っていない。同じことがビットコインの時価総額8500億ドルにも言えるが、銀の1兆4000億ドルやアマゾンやグーグルの1兆7000億ドルの時価総額には遠く及ばない。

ビットコインの時価総額はよく金と比較される。金の総額は12兆3000億ドルで、現在、世界的な価値保存手段の代表格だ。したがって、45,000ドルのレジスタンスの答えは、機関投資家がBTCと金を比較することにあるのかもしれない。機関投資家の運用資産や日々の取引量を見れば、ビットコインの時価総額が、金より93%もディスカウントされていると推察できるからだ。

「デジタルゴールド」の正しさが証明されつつある

ビットコインは金の代替物とみなされることが多い。コインテレグラフはこれまでにも、ビットコインの複数のユースケースを取り上げてきたが、デジタルな価値の保存手段が常に主要な特徴とされてきた。

世界中の政府は様々な理由から金融規制の強化を実施しており、こうした動きがビットコインの分散的な利点を強調する可能性がある。例えば、中国の信用システムでは、犯罪者は社会信用ブロックリストに登録され、融資の確保や交通システムの利用さえもできなくなる。

最近では、カナダの緊急事態法が、2月15日に民事責任を問わずにデモ参加者の銀行口座を凍結する裁量権を金融機関に与えた。もう一つの例は、今週、ロシア人がApple PayやGoogle Payなどの決済サービスから制裁を受けたことだ。

これらの出来事は、金とビットコインの時価総額の分析に影響するだろう。

Most valuable tradable global assets. Source: 8marketcap.com

上記のデータによると、BTCの現在の時価総額8億3700万ドルは、金のおよそ7%に相当する。市場を評価するためには、日々の取引量と機関投資家の保有量を比較する必要がある。

ビットコインは取引所の取引の数字が膨れ上がることで知られているが、Nomicsを含む一部のプロバイダーは、独自の調整済み出来高計算を行っている。

Accumulated 30-day volume on March 2, USD. Source: Nomics

上記のデータでは、ビットコインの30日間の取引高が4040億ドルで、1日あたり135億ドルに相当する。オンチェーン分析を手掛けるクリプトコンペアの2022年2月のレポートによると、グレイスケール投資信託(GBTC)などの商品は、さらに1日あたり4億ドルの流動性を追加しているとのことだ。したがって、ビットコインは現在、1日平均139億ドルの流動性がある。

Average daily trading volumes, USD billion. Source: gold.org

一方、GoldHubによると、金の1日の流動性は、登録された店頭取引も含めて1700億ドルだ。これに加えて、規制されている先物市場や金の上場商品もある。したがって、ビットコインの出来高は現在、金の約8%ほどだ。

金のETFとビットコインの上場商品の比較

ビットコインはGBTCや上場債券など複数の上場商品があり、成長が続いている。その結果、ビットコインの上場商品に固定された運用資産は378億ドルにものぼる。これは、仮想通貨市場の現在の時価総額8億4000万ドルの4.5%に相当する。

Total Bitcoin listed investment vehicles, USD. Source: Funds, Bloomberg, ETF.com

2月25日のGoldHubのデータによると、金を裏付けとするETF商品の総額は2212億ドル。非金融用途の金(宝飾品、工業用、その他)の総計61%を除くと、残りの時価総額は6兆ドルだ。したがって、仮想通貨ファンドの上場投資商品は、調整後の金の時価総額の3.7%に相当する。

45,000ドルで、ビットコインの平均取引量と機関投資家の保有量は、金の市場の動きとほぼ一致している。時価総額8億5000万ドルという水準は、投資家にとって短期的な懸念材料かもしれないが、ビットコインには、ライトニングネットワーク技術を利用したマイクロペイメントチャンネルなど、新たな利用事例が生まれている。

「デジタルゴールド」がビットコインの評価モデルの一部に過ぎなくなるにつれ、トレーダーはより高い上昇率を評価するようになり、その結果、45,000ドルという水準は遠い記憶となるだろう。