中国のエネルギー企業上海ガスは3月31日、ブロックチェーン基盤の液化天然ガス(LNG)サプライチェーン管理システムの試験成功を受け、ヴィチェーン(VeChain)財団との提携および取り組みを拡大すると発表した。コスト削減ほか、サプライチェーン全体における製造プロセス透明化、LNGリスク管理用の信頼性の高いデータベース、「トラストレス」なエネルギーエコシステムを構築する。
中国の国家発展改革委員会(NDRC)は2017年、エネルギーに関する国家ネットワーク構築に向け5か年計画を発表したものの、利害関係者間の情報共有欠如が大きな課題となっていた。その解決策として、ブロックチェーン技術が高い透明性をもたらす実行可能なソリューションとなると見ている。
またプレスリリースにおいて、ヴィチェーン財団は、2019年12月設立の「一帯一路構想ブロックチェーン連合(BRIBA)」共同設立者として、ブロックチェーン技術によりすべての一帯一路利害関係者に利益をもたらす自信があるとした。
上海ガス、ヴィチェーン財団のブロックチェーン技術採用を拡大
上海ガスによる試験では、ヴィチェーン財団が提供するヴィチェーンソー(VeChainThor)ブロックチェーンおよびデータ管理プラットフォーム「ヴィチェーン・ツールチェイン(VeChain ToolChain)」を利用しており、サプライチェーンにおける情報共有向上、効率化、運用コスト削減といった効果が認められたそうだ。
今回の提携拡大では、ガス供給サービス企業ENNエナジー・ホールディングス、ヴィチェーン財団との協力のもと「トラストレス」なエネルギー・アズ・ア・サービス(EaaS)エコシステムを構築する。
上海ガスは、上海のガス市場の90%以上を占めるといわれる公益事業会社上海エネルギーグループが所有する企業だ。上海ガスは、年間80億立方メートル以上のガスを供給している。またENNは、中国19省201都市、1億人以上の人口をカバーするガスパイプラインおよび供給事業を行っている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン