匿名通貨ジーキャッシュ(Zcash。ZEC)を開発するエレクトリック・コイン・カンパニー(ECC)は1月15日、モバイルウォレットにおける「シールド付きトランザクション」(暗号化した取引)の促進を目的に、アンドロイド用SDK(ソフトウェア開発キット)の改良版と同時に、新たにiOS用SDKのリリースを発表した。モバイルクライアントがZcashブロックチェーンに効率よく高速接続できるよう設計したバックエンドサーバー「Lightwalletd」(アルファ版)も公開した。

ECCは、両SDKとも開発段階としているものの、サードパーティの開発者にシールド付きトランザクション対応モバイルウォレットの開発・実験を行うよう推奨している。

「シールド付きトランザクション」のハードル軽減

今回発表のSDKは、2018年10月28日実施のSapling(サップリング)アップデートを受けたものとなっている。

ジーキャッシュ財団およびECCが公開中の日本語文書「Zcash規制およびコンプライアンスの概要」によると、ZECは、「トランスペアレント(透過)トランザクション」と、「シールド付きトランザクション」の両方が可能な仮想通貨となっており、トランスペアレントでは一般的な仮想通貨のように動作し、シールド付きではトランザクション(送信者・受信者・送金額)が暗号化されるという。

ただし、シールド付きトランザクションは、ゼロ知識証明の1種として用いられる暗号化方式zk-SNARKを採用している点がメリットである一方、非常に負荷が高く、少なくとも2.9GB(ギガバイト)の空き容量のメモリーを確保できるハードウェアが必要となっていた。

Saplingでは、シールド付きトランザクションによる負荷が軽減され、フル機能を備えたモバイルウォレットの開発が現実的になったという。また2019年4月にリファレンス実装となるモバイルウォレットがリリースされたものの、テストネットとの互換性のみが図られていた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン