ウィリー・ウー氏が、仮想通貨(暗号資産)ビットコインは米株S&P500とのデカップリング(負の相関)が始まったことを指摘した。

ウー氏は9月にも、デカップリングが始まると主張。ビットコインは新しいユーザーの流入によって、伝統的市場との結びつきがなくなると指摘していた

「ビットコインはまもなく伝統的な市場からデカップリングするが、これを推進するのは、従来の投資家によるヘッジ手段としての認識が変化するのではなく、その採用によるS字型カーブ(スタートップスタイルの成長)によって推進される」

ウー氏は自身が2017年に導入した指標NVT(Network Value to Transaction Ratio)に言及し、ここ数日S&Pが急落しているにも関わらず、ビットコインのNVT価格は明確なサポートを示しているとした。

NVTは流通する仮想通貨の市場価値を毎日の取引量で割ることで、市場のピークを見極めようとする指標だ。NVTはビットコインのP/E(株価収益率)に例えることができるが、ビットコインには収益がないため、ウー氏はP/Eの値をネットワークバリュー(ビットコインの時価総額)と1日の米ドルの取引量に置き換えて算出している。

28日にはビットコインのNVT(サポート価格を示す)は11000ドルを超え、過去最高値となった。

(出典:ウィリー・ウー「ビットコインのNVTが過去最高に」)

ウー氏は株価が下落を続ける中で、この指標はビットコインが「安全資産」としての地位を取り戻す可能性を示唆していると主張した

「このテストが示しているのは、もし株が暴落した場合、ビットコインはその大規模な採用のS字カーブによって、これまで以上に多くの資本を飲み込み、完全な安全資産として示されるだろう」

10月26日にはモルガン・クリーク・デジタルの共同創業者であるアンソニー・ポンプリアーノ氏は「ビットコインは究極のセーフヘブンであり、市場がそれを証明している」と主張。ビットコインが株式市場と今ほど無関係な状態はないと話した。

仮想通貨アナリストのスコット・メルカー氏は5月、株式とビットコインは「現在、相関関係がなく、過去にもなかった」とツイートしている。

さらに仮想通貨投資家のクリス・ダン氏も20日、株式とビットコインに負の相関関係が始まったことを示唆。ウー氏はこれを受けて、ビットコインを伝統的な資産に対する安全な代替手段としての立場を改めて強調した

「BTCが短期取引では相関関係が続くことは理にかなっているが、長期取引ではそうではない。BTCはセーフヘブンであり、『リスクオン』(非常に新しい)がこの事実を歪めているだけだ。」

しかし、一部のアナリストは、ビットコインとS&P500の相関関係に過度にこだわることは危険であると指摘する人もいる。アナリストのマイケル・ファン・デ・ポッペ氏は、今年3月のように、大規模な混乱の中では、「すべての相関関係は1に向かって行く傾向がある」と主張している。

「それ以来、金、銀、ビットコインはどのような下降の動きに対しても回復力があり、株式市場とは別の強さを示しています。相関関係に自分自身を縛り付けない方がいい。」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン