「今年最大のニュースだ」
インドの最高裁判所が3月4日にインドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)の仮想通貨禁止の命令を違憲と判断したことを仮想通貨市場関係者は歓迎した。ただ仮想通貨ビットコイン(BTC)は、24時間比でほぼ横ばいの推移。9000ドルの大台を回復できず、インド効果は「長期的な材料」との見方が出ている。
(出典:Coin360 日本時間3月4日18時5分時点)
インド最高裁の判決を受けて仮想通貨投資家のジョセフ・ヤング氏は「2020年に仮想通貨業界に何が起ころうと、これが今年最大のビッグニュースになるだろう」と高く評価。ただ、「インド人全員が直ちに外出して仮想通貨を買うわけではない」ので、「仮想通貨にとって長期的な勝利であり、巨大市場へのゲートウェイだ」と分析した。
ビットコイン 「そこまで」安全資産ではない
新型コロナウイルスで株式市場が急落した際に、ビットコインは質への逃避先には選ばれなかった。「デジタルゴールド」であるはずなのになぜなのか仮想通貨市場関係者の間では引き続き議論が続いている。
(出典:Messari「新型コロナウイルスとマーケット(2月24日~2月28日)」)
ブロックチェーン分析企業メサーリ共同創業者のライアン・セルキス氏は、3月3日のニュースレターの中で、「確かにビットコインは先週リスク資産とともに下落したが、安全資産としてのケースが無効になったわけではない」と主張。「ビットコインは景気後退に対するリスクヘッジ手段」ではなく、「法定通貨に対するヘッジ手段」だと述べた。
「短期的に投機目的で保有されている金と同じように、先週のような流動性の危機の時には、ポートフォリオを流動性の面で調整するためにビットコインは売られる。(中略)2008年の金融危機の時、金はまさにこの動きをした」
2008年の夏以降、株式市場が急落するに従って金も急落。その後、数年かけて反発した。
(出典:Messari「金融危機と金の値動き」)
その上でセルキス氏は、ビットコインは「法定通貨に対するヘッジ手段」であると解説。「経済の低迷ではなく、法定通貨システムの失敗に対する保護手段だ」とし、「新型コロナウイルス対策としての中央銀行の景気刺激策への反応」という軸でビットコインの真価が問われるだろうと予想した。
既報の通り、米連邦準備理事会(FRB)は3月4日、緊急の利下げを発表。日銀や欧州中央銀行(ECB)も今後の動向を注視しつつ対策を打つ方針を発表している。