ディズニーがDragonchainのオープンソース化に踏み切ったようだ。Dragonchainは、あのミッキーマウスやドナルドダック、プルートなどの有名アニメキャラクターで知られるディズニーが開発したパブリック/プライベート・ブロックチェーンだ。

ディズニーとブロックチェーンと聞くと奇妙な組み合わせのように思われるかもしれないが、企業としてのディズニーは常にテクノロジーの最前線を走ってきている。ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは、既に、入園時のホテルのオートロックやグッズの購入などにマジックバンドが利用されている。新世代の若者たちがスマートフォンやテレビゲームなど、新たな技術に益々魅了されている現代においては、流行に出遅れないことは重要だ。

ディズニーがブロックチェーンに手を出したのは今回が初めてではない。事実、2014年に、ディズニー主催のディズニー・ワールドで行われたビットコイン・カンファレンスで、ブロックチェーン結婚式が行われている。また、最近ではディズニーがブロックチェーンのユースケースを模索しているというニュースを耳にするようにもなってきている。

 

Dragonchainとは

 

Dragonchainは、2016年10月2日に変更が加えられたApache 2のオープンソースライセンスと共にパブリックリリースがされたブロックチェーンだ。

Dragonchainは、中央制御のポイントを廃し、企業が価値の在るもの全てをトラック&トレード出来ることを目的として開発されたものだ。基本的にはトランザクションを記録し動作させる他のブロックチェーンと変わらない。ビットコイン・ブロックチェーンと似ているが少し違う点も存在する。

Dragonchainのアーキテクチャが詳細に記されたドキュメントによれば―”ビットコインや他の暗号通貨には、”プルーフ・オブ・ワーク (PoW)”によるアルゴリズムが、”トラストレス”なシステムにおけるコンセンサスの基礎として利用されているが、本ブロックチェーンのアーキテクチャ内部では、その”プルーフ”が抽象化されており、用いられるブロックチェーンには1つ以上の方法で実装を行うことが出来る。ユーザーの中には、トラストベースなシステムを利用したい人がいる可能性もある、例えば、完全なプライベート・ブロックチェーンによるシステムなどである。他にも、”トラスト”が限定的に適応され、セキュリティ強化の機能 (i.e. クラッキングを行うには、秘密鍵一式を盗み出すだけでなく、計算を行い、構成されたプルーフを再構築する必要がある) を追加可能なハイブリッドなプルーフ・オブ・ワークシステムに価値を見出す人もいることも予想される。”と、書かれている。

 

多通貨に対応したブロックチェーン

 

ディズニーは多通貨に対応したブロックチェーンを打ち出している。これはおそらくブロックチェーンにおける興味深い点の一つではないだろうか。Dragonchainの開発案には―”Dragoinchainのアーキテクチャは、複数の通貨に対応している必要がある。つまり、一般的な例としては、通貨のユースケースが定義される場合、1つの(または複数の)ノードによって通貨であると定義され、その利用がサポートされる。その場合、2つ以上の通貨が、全体としてネットワーク上で同時に利用される場合が多いためである。”と、書かれている。

Dragonchainは多通貨対応のため、ディズニーにとっては、園内を訪れる海外からのツアー客などに向けて、複数の通貨レートで製品やサービスの価格を提供する際などに役立つ可能性もある。また、それにより、海外への新たなテーマパーク建築の事業拡大の手助けになる可能性もあるだろう。

 

ディズニーの考えるブロックチェーン・ユースケース

 

何故ディズニーのような企業がブロックチェーン事業へ進出したのだろうか。その利点とは何だったのだろうか。1つ考えられるのは、ユーザーが園内で遊ぶゲームの”ポイント”の集積をしたいのではないかという点だ。

他の可能性としては、トークンや、施設内で利用できる独自通貨のようなものの導入を考えているのではないかということが挙げられる。いずれにせよ、ブロックチェーンを導入すれば、よりシームレスかつ安全にトランザクションを実行することが可能なのは間違いないだろう。

ビットコインとブロックチェーンは、我々が生きる世界をまるで別物へと革新しようとしている。ブロックチェーン技術を如何にして導入できるのかと、方法論を模索する企業は益々増えてきており、ディズニーもその例外ではない。

将来的にディズニーがブロックチェーンを利用し続けているどうかはわからない。一時的な企業目的のために今だけDragonchainに取り組んでいるだけの可能性もある。しかし、近い将来、ブロックチェーンで動くミッキーマウスを我々が目にする時代もやってくるかもしれない。