5月の金商法の改正を受けて、日本でもSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)の動きが出てきている。8月には日本STO協会に新たに正会員が1社、賛助会員として11社が入社した。記事執筆時点で、9月に新たに賛助会員3社が加盟し、正会員が11社、賛助会員が37社まで増加している。
さらには日本セキュリティトークン協会(JSTA)も正会員が9社、賛助会員が25社となっている。賛助会員に至っては、6月ごろには15社だったのが、8月までに急増している。
STOに取り組む、もしくは取り組もうとする企業は、現在のSTOの課題をどのように捉えているのだろうか。
8月に日本STO協会に賛助会員となったFXCoinシニアストラテジストの松田康生氏はコインテレグラフに対し「すべてが課題と言っても過言ではない。」と指摘。その中でも金融的側面から、「だれが、どうやってセカンダリーマーケットを作るのか?」「税金面」という2点が課題ではないかと予想した。
セカンダリーマーケット(二次流通)についてはまだ何も決まっておらず、日本STO協会でも議論を進めている段階だ。
松田氏は「セカンダリーマーケット」については「運営者は誰で、上場基準はどうで、参加者は誰で、どうやって投資家保護を図るのか課題だらけだが、セカンダリーがないならばトークン化しても紙をPDF化したのと大差なく、避けては通れない問題」とした。
さらに、Zaif Exchangeを運営するZaifの田代昌之氏はSTOの現状について「証券会社はトークンに関する技術を目下吸収中のため、STOを利用した具体的なファイナンスは出てくるのはもう少し時間がかかるだろう」と話した。
一方、田代氏は、「セカンダリーマーケット」については、
「STO協会員を中心に、「セカンダリーマーケット」の整備が始まろうとしていて、これから課題を一つ一つクリアして行く段階だと思う。こうした整備を複数の証券会社が連携して進め、情報を発信することで、投資家や起業家などの関心は徐々に高まっていくと考える。」
今後のSTOはどうなる?
今後STO関連での動きについては、松田氏はこのほど同社で扱いを開始したXRPに注目する。
「FXcoinは、XRP建ての起債・SWAPなどによって暗号資産の実需取引と金融市場の活性化を目指しており、STOとは非常に親和性があると考えている。またFXcoinとしても、STOによる資金調達には大きな可能性があるとみている。」
一方のFCCEの田代氏は、不動産業界では大きな動きが起きるのではないかと予想した。
「現状、コストと手間がかかるイメージが強いSTOですが、将来的にはこんなことはできないか?といった議論は日々行われています。トークンの小口化は、投資資金が少ない20代から30代の若い投資家の関心を集めやすい要因であり、投資家のすそ野を広げるにはもってこいの案件になるでしょう。投資家のすそ野が広がる=起業家の増加につながり、様々な有価証券等を取り扱う書面主義の業界は煩雑なフローが大きく改善されるでしょう。特に保守的のイメージが強い不動産業界は大きく構造が変わるかもしれません。」