先週閉幕したダボス会議で、コインテレグラフは世界を代表する専門家たちに話を聞くことができた。そのうちの一人が、「ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」(ダイヤモンド社、2016年)の著者であるドン・タプスコット氏だ。日本でもよく読まれているブロックチェーンの本なので、聞いたことがある人も多いはずだ。
タプスコット氏によると、今年のダボス会議ではブロックチェーンが「ドナルド・トランプ」の次に話題になったそうで、同会議が「ブロックチェーンダボス」になったと嬉しそうに語った。
詳しくはコインテレグラフ公式ユーチューブチャンネル上でインタビュー動画を見てほしいが、ここに一部論点をまとめて紹介する。
- 今年のダボス会議は「ブロックチェーンのダボス」だったと言える。
- ある分析によると「トランプ」の次に「ブロックチェーン」が話題に上がっていた。
- ブロックチェーンの発展の中心となりえる都市はシリコンバレーではなく、スイスやカナダとなる可能性がある。
- カナダではカナダ銀行、州政府、トロント市と主要5行がブロックチェーンを使った新たな決済システムを開発している。
- カナダ首相はブロックチェーン推進派だ。
- イーサリアム共同創始者ヴィタリック・ブテリンもカナダのウォータールー大学出身。
- 北米最大級のブロックチェーン関連のインキュベーターのうち2社はトロントにある。
- トランプ大統領の「おかげで」優秀な人材がカナダに戻ってきている。
- カナダの規制当局は柔軟な姿勢を保持している。
- カナダ銀行は法定通貨と連動するデジタル通貨について研究している。
- 一方で「価値のインターネット」の台頭を多くの国はまだ理解していない。
- 規制を強化する韓国政府幹部に会った時に考えなおすよう警告した。
- 「新たな経済」を規制を通して微調整するのは良いが、切り捨ててはならない。
- ブロックチェーンがもたらす新たな経済を、適切な規制を通して取り込めるかどうかが国家の命運を決める。
- インターネット黎明期、ティム・バーナーズ=リーがWWWプロトコルを作ってこれを提供した。これからは投資家や広い範囲の人々自身がプロトコルを所有する時代。バブルという形容は適切でない。
- 新たなブロックチェーンや仮想通貨経済の規模はインターネット経済の規模を超える。言い換えると、人類の歴史上最大の投資チャンスだ。
- ブロックチェーンの核心は組織設計や企業形態を根本的に変えることにあり、全ての経済に影響を与える。
- 流通業界が良い例で、台湾のホンハイやウォルマートもブロックチェーンを活用し始めている。
- 今流通の世界で最大の動きは、中国の習近平政権が提唱する中国と欧州を繋ぐ「一帯一路(いったいいちろ)」経済構想。ここでもブロックチェーンが活用される。
- 仮想通貨が法定通貨に取って代わるわけではない。通貨というよりも新たなアプリを創造するツールになる。
- 人類史の新たな展開の中では法定通貨が仮想通貨になっていく。ジョン・レノンの「イマジン」のような世界を想像してみると楽しい。
- タプスコット氏が会長を務めるブロックチェーンリサーチインスティチュートで現在10の産業における応用を試している。
- 組織経営においても新たな試みを試している。ダブルエントリー簿記ではなくトリプルエントリーを試したり、法務責任者にスマートコントラクトを検討してもらう等している。
コインテレグラフではこれ以外にもダボス会議で収録したインタビュー動画を公開予定だ。