◆VISAのケリーCEOがCNBCのインタビューに答えて「短期・中期的に仮想通貨は脅威にならない」と発言した
◆ただ世の中の流れ次第で仮想通貨の方向に軌道修正するとも述べた
◆米決済サービス業界の中では中立的な見方か
米クレジットカード大手ビザカードのアルフレッド・ケリーCEOは26日、CNBCのインタビューに答えて「短期・中期的に仮想通貨は脅威にならない」という見方を示した。ただ仮想通貨が支払い手段として主流になれば会社も軌道修正すると話しており、米大手決済サービス業界の中では新興の仮想通貨に対して中立な見方を示した。
クレイマー氏は、ツイッターの創業者でスクエアのCEOであるジャック・ドーシー氏が仮想通貨の時代が来ると頻繁に話していることを引き合いに出し、「仮想通貨はビザカードにとって脅威になるか」とし質問。これに対して、ビザのケリーCEOは「とりあえず、短期、中期的には脅威にはならないだろう」と否定。その理由について次のように答えた。
「我々が不都合なく参入できるようになるには、法定通貨のようにマーケットが整備されていなければならない。ただもし世の中の流れが(仮想通貨の方に)向かうなら、我々も軌道修正する。我々は世界中のあらゆる決済取引において存在感がある。何が起きても、どんな通貨が出現しようとも、もし我々が行かなきゃダメだと判断すれば、そうする。ただ、現時点で仮想通貨は支払い手段としてはコモディティとして成立している」
一方で、最近仮想通貨はようやくコモディティから支払い手段になり始めていると認めた。
ケリーCEOは、9月にボストンボストンカレッジで講演した際、ブロックチェーンや仮想通貨がクレジットカード会社の同社に有用とは思わないと発言していた。
決済サービス業界の見方分かれる
米決済サービス業界の中で仮想通貨に対する見方は分かれている。反対派の筆頭はマスターカードだ。マスターカードのアジェイ・バンガCEOは、7月、政府が発行したものでない匿名の仮想通貨は、価格が「激しく」変動するため、交換手段と見なす「価値」がなく、「ジャンク」だと述べた。
また米決済サービス大手ペイパルの元CEOであるビル・ハリス氏は8月、ビットコインの価値は「かなりゼロに近くなる」と発言。「速い、自由、スケールできる、効率的、安全、世界中で受け入れられて使いやすい」と主張する「ビットコインのカルト集団」に対して、「全部間違っている」と厳しい言葉を投げかけた。
一方、擁護派の筆頭は、先述の米決済サービス大手のスクエアだ。ドーシーCEOは、仮想通貨の未来に強気なことで有名。5月にはビットコインが主流になるかどうかはわからないが、仮想通貨が「インターネットのネイティブ通貨になる」という考えを示した。
スクエアは、自社アプリのキャッシュで今年の1月からビットコインの取引を開始。スクエアは一定数のビットコインを保有することで、利用者がすぐにビットコインの売買ができるようにしている。6月には、ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)から同州で仮想通貨事業を行うための免許であるビットライセンスの承認を取得。8月には4−6月期の決算を発表し、ビットコイン取引による売上高が3700万ドル(約41億円)だったことを明らかにした。
こうした中、ビザのケリーCEOの発言は、決済サービス業界の中では「中立」のように見受けられる。ただ「仮想通貨という山が動くなら自分たちも重い腰を上げる」という考えで急速に変化する市場環境に対応できるのかは未知数だ。
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