VISA、マスターカードは、フェイスブックの仮想通貨リブラを発行するリブラ協会への参加を再考していると、米ウォールストリートジャーナルが1日に報じた。欧米諸国でのリブラに対する激しい反発を受けたものだという。
WSJは関係者の話として、VISAとマスターカード、またほかの金融サービスのパートナーが、米国や欧州諸国の政府からの反発を受けて、リブラネットワークへの支援を再考していると報じた。
6月のリブラ構想の発表時、リブラの発行体となるリブラ協会には28社が名を連ねていた。マスターカード、VISAのほか、金融サービスではPayU、ペイパル、ストライプが参加している。
金融サービス企業は、リブラ発表後から後ろ向きな姿勢を示していた。
VISAのアルフレッド・ケリーCEOは7月の決算会見で、フェイスブックのリブラに正式に参画が決まった会社は1つもないと発言。ケリーCEOは「我々はリブラに参画するために拘束力のない覚書にサインした」だけであり、「どの企業も正式にはジョインしていないということだ」と話していた。
英紙フィナンシャルタイムズは8月、「少なくとも3社がリブラ協会からの脱退を検討している」と報じている。この時は具体名は明らかになっていなかった。
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リブラ普及に制約か
WSJは今回のVISAやマスターカードといった金融パートナーが参加しなくなれば、マ小売業者への普及など「リブラのリーチは制限されることになる」と指摘する。
WSJの報道によれば、10月14日にリブラ協会に参加する企業の代表者がジュネーブで会合する予定だ。リブラ協会の憲章を検討し、理事会メンバーを任命することになるという。
リブラ責任者「数週間以内に公式メンバー発表」
リブラ用ウォレットを開発するフェイスブック子会社カリブラのCEOであり、リブラの責任者であるデビッド・マーカス氏は、このWSJの記事についてコメントした。
マーカス氏は「この記事はナンセンスだ(Calling BS)」と述べ、リブラが違法行為からネットワークを保護する方法について詳細な情報を提供していないと批判した。
「この記事の一部のトーンは不安などが垣間見える。私たちは非常に冷静だ。リブラがデジタル通貨の価値に関する議論を最前線に押し上げたことで、様々な正当な懸念が浮上したが、私たちはそれに自信を持って取り組んでいる」
マーカス氏は、「大きな変化には困難が伴い、そして勇気が必要だ。そしてそれは長い旅になる」と指摘する。
その上で、特定の組織が支持しないような事業を遂行していくには、「リブラを成功させるためには献身的なメンバーが必要だ」と強調した。
リブラ協会のメンバーについての公式な最初の発表は、「今後数週間以内に行う」と明らかにした。