仮想通貨ペトロを始めた南米ベネズエラのマドゥーロ大統領が窮地に立っている。

24日、米国のポンペイオ国務長官がマドゥーロ政権について「正当性がない」と主張。経時的に困窮するベネズエラ人に対して人道支援をすると約束し、マドゥーロ大統領の代わりにグアイド国会議長を暫定大統領として支持すると発表した。また26日には、ポンペイオ国務長官が英国に対してロビー活動を行い、マドゥーロ大統領がイングランド銀行にある外貨準備にアクセスできないようにしたと報じられた。ベネズエラの外貨準備金は80億ドルで、そのうち12億ドルがイングランド銀行に預けられているという。

ただ一方でマドゥーロ大統領は、ハイパーインフレへの対策として官製の仮想通貨ペトロ(Petro)を立ち上げた人物として知られる。マドゥーロ大統領の失脚は仮想通貨業界にとってプラスなのだろうか?

グアイド暫定大統領のビットコインへのスタンス

2017年末にグアイド氏は、ペトロについて「人々をだまし続けるために使われているマドゥーロ政権が作った『冗談のような通貨』」ツイートで批判。ペトロの販売は違法だと述べていた。

現在、ベネズエラ国民はパスポートを取得するためにペトロを使用することを要求されている。また、先月、ベネズエラ政府が年金受給者に対する毎月の支給金をペトロへと自動的に両替していることが明らかになった。強引にペトロを普及させようとするベネズエラ政府だが、昨年9月には、ペトロの取引に対応していると言われる16社の小規模な取引所のうち7社のインターネット上での所在を確認できなかったとうい報道もあった。

ただ、米国の経済ジャーナリストでロシア国営テレビ局RTのレギュラー番組「カイザーレポート」のホストであるマックス・カイザー氏はツイートで以下のようにツイートしている。


ベネズエラの暫定大統領はビットコインのファンです。これはよい知らせです。 マドゥーロのペトロは機能しないものだった。 経済をビットコインに転換することは、彼らができる最も賢いやり方でしょう。」

実際グアイド氏は、2014年8月の時点でビットコインの取引所が立ち上がることについてツイート法定通貨のボリビアとビットコインが両替できることを歓迎していた。

仮想通貨ペトロの機能面に関して疑問符がついていただけに、ビットコイン支持者として知られるグアイド氏の台頭は、仮想通貨業界にとっても追い風になるかもしれない。

ビットコインの取引高は急増

一方、ベネズエラでのビットコイン取引量は右肩上がりだ。とりわけ そして最近の数週間で、ビットコインの取引量はP2P取引プラットフォームのLocalBitcoinsで最高値を更新した。

またビットコインATM業者クリプトバイヤーのCEOが、18日、地元ラジオのインタビューに答え、2週間以内にビットコインATMを設置すると話したという。

ダッシュのスマホがバカ売れ

また、南米の携帯会社Kripto Mobile(クリプト・モーバイル)が販売する仮想通貨ダッシュの取引が可能なスマホが、ベネズエラで人気だという。

仮想通貨に詳しいeToroのシニアアナリスト、マティ・グリーンスパン氏が、クライアント向けのメモの中で伝えたところによると、過去2ヶ月半、クリプト・モーバイルはダッシュでの取引が可能なスマホを世界で6万6000台販売。そのうち、ベネズエラでの購入は、5万3000台に上ったという。

(引用元:マティ・グリーンスパン氏 via クリプト・モーバイル 「クリプト・モーバイル製のスマホ 販売台数推移」)

昨年8月、クリプト・モーバイルはダッシュと提携し、ウォレットなどダッシュのエコシステムが搭載されたスマホを製造すると報じられた。法定通貨への信用を無くしたベネズエラ人は、ショッピングや食事など普段とほぼ変わらないスピードで生活をするため、ビットコインやイーサリアムより取引スピードの速いダッシュを重宝しているという報道もある。