米財務省が31日、フィンテックに関する新しいレポートを発表した。このレポートは、フィンテック分野におけるイノベーションに対してより機動的な規制アプローチの必要性を指摘している。
レポートは全体で222ページにも及ぶが、仮想通貨やブロックチェーン、分散型台帳技術についてはわずかに触れられている。これらの分野については、「金融安定監督評議会(FSOC)のワーキンググループが統合的な取り組みを模索している」と説明している。
今回のレポートは全体として、金融テクノロジーを育成し、その進化の障害を取り除くために、既存の規制枠組みを近代化することを米国政府に強く求めている。
レポートは「より合理化され、適正な監督」を行うよう求めている。一連の勧告の中で、成長を妨げるような過度に複雑な規制を合理化するように言及した。この中には、州ごとによって行われている資金移動事業の登録も含まれれる。この登録制度は、米国での仮想通貨取引所にも適用されている。
世界中の金融当局が暗号資産への関心を高めていることを踏まえ、米財務省はG20で進められている取り組みにも触れた。G20では新興セクターを監督するための適切な指標づくりが進められている。
また金融業界によって開発されている分散台帳技術(DLT)アプリケーションについても言及しているが、そのメリットはまだ「非常に不確実だ」と指摘している。
またDLT技術やトークン化についての将来の可能性について触れている。報告書は「コモディティ取引と証券決算、〔中略〕信頼できる認証プロダクト・サービス、〔中略〕中央銀行が発行するデジタル通貨もしくはDLTを利用した法定通貨のトークン化の可能性。〔こういった資産は〕市場参加者の手数料、処理時間、および運用リスクを削減するのに役立つ可能性がある」と書いている。
さらに報告書では規制サンドボックスを活用も主張している。またラボやワーキンググループ、イノベーションオフィスの設立、規制当局と業界参加者がチャンネルを作ることも奨励している。米国経済を支え、グローバルな競争力を維持するために、規制当局とイノベーターの「共生関係」が必要だとしている。