米司法省は、10月8日、「仮想通貨取締りの枠組み」というレポートを発表した。仮想通貨に対する司法省の取締戦略や優先事項を明記し、最近のDeFiブームに対する取締りが遅れている点が課題と述べた。

「仮想通貨取締りの枠組み」

司法省のレポートは3つに分かれている。

まずは仮想通貨の不正使用に関するまとめを記載。1)犯罪者による金融取引での使用、2)マネーロンダリング(資金洗浄)、脱税など、そして3)仮想通貨取引所へのハッキングなど仮想通貨マーケットに直接的に関わる犯罪カテゴリーを分けた。

2つ目は、上記の仮想通貨不正に対処するた目に存在する様々な法的なツールを検証。司法省とSEC(米証券取引委員会)など他の政府機関での連携が強まっていることを指摘した。

3つ目は、仮想通貨不正使用を取締る上での課題を列挙した。例えば、仮想通貨取引所のユニークなビジネスモデルやミクシングなどの匿名性を守る技術に対処することが課題としている。

ウィリアム・バー司法長官は同日に声明を出して仮想通貨の可能性を認めつつも安全に使われることの必要性を訴えた。

「仮想通貨は人類の交流の仕方や社会のあり方を根本的に変える可能性を秘めた技術だ。この技術が安全であり、国家の安全や社会の安全を犯さないと保証することが、アメリカと同盟国にとって極めて重大だ」

DeFiブームを警戒

特筆すべきは、司法省が今後の課題として、最近のDeFi(分散型金融)ブームを3年前のICO(イニシャル・コイン・オファリング)ブームと重ね合わせて警戒している点だろう。イノベーション に後れを取っているが、DeFi領域の動きを注視していることを明らかにした。

「2、3年前のICOブームはここ数ヵ月の分散型金融市場の指数関数的な成長になり変わった。その複雑性と困難さから執行機関にとっては先回りするのは難しく同様に投資家を保護し続けるのは難しい」

プライバシーコインに警戒

83ページに及ぶレポートは、とりわけZキャッシュやモネロ、ダッシュなどプライバシーコインを名指しして「犯罪行動を示唆」するものとして捉えていることを明かした。司法省はこれら仮想通貨は「匿名性が高められた仮想通貨(Anonymity Enhanced Cryptocurrency、AEC)と名付け、既存のアンチマネロン対策やテロ資金供与対策を妨げる可能性があると述べた。

AECとは、ミクシングやチェインホッパー、タンブラーといった技術を使ってコインの出所を分からなくするコインを指す。

海外勢への対応

司法省は、海外の仮想通関連企業に関しても取り締まりを行うケースについて言及した。「仮想資産の取引が米国内の金融、データストレージ、もしくは他のコンピューターシステムに触れる場合」において、もし海外企業が米国に不法なプロダクトを輸入したり米国在住の人々を騙そうとしたりする場合に取り締まりをすると明かした。

海外企業がたとえ米国以外に本社を置いていたとしても取締りの対象にする。

また、仮想通貨を使ってテロリストを支援する行為も取り締まりの対象となる。

翻訳・編集 コインテレグラフ ジャパン