米商品先物取引委員会(CFTC)のクリストファー・ジャンカルロ委員長は25日、米議会下院の農業委員会が開いた公聴会で、CFTCは歴史的に現物市場の規制は行わないという立場を明らかにした上で、仮想通貨市場の成熟化を待って規制を始めた方が良いという考えを明らかにした。
共和党のアルマ・アダムス議員の「仮想通貨市場においてサイバー攻撃や詐欺から消費者を守るために米議会はCFTCの管轄権を拡大するべきだと思うか」という質問に対して、次のように答えた。
「歴史的にCFTCは現物市場やスポット市場ではなく、デリバティブ市場を規制対象にしてきた。私は、まだCFTCの管轄権を拡大することを議会に提案する段階になっていないと考えている。いくつかの懸念材料があるからだ。」
「我々の偉大な商品先物市場は、CFTCが規制を始めるまで数百年も存在していた。彼らは自分たちでルールを決めて自主規制をした。そして、十分に成熟した段階でCFTCが規制を始めた。仮想通貨市場もそういう時期がくるだろうが。それがいつなのか?連邦政府が介入をするベストのタイミングはいつなのか、私は問いたい」
「私が良い例として指摘したいのは、1990年代、民主党政権と共和党議会が歩調を合わせてインターネットの発展を阻害しない方法を取ったことだ。規制は遅いがイノベーションの進化は速い。もちろん仮想通貨市場の動きに注意を払わなければならない。ただ規制を始める前に少し自由にやらせた方が良いと思う」
イノベーションの発達を阻害しないように努めるジャンカルロ委員長は、2月の公聴会の時に以下のようにコメントした。
「インターネットの発展でも見られたように、『テクノロジーの精霊』を元の壺に戻すことはできない。仮想通貨は決済や金融、経済活動にパラダイムシフトを引き起こしている。監督機関がこれらを無視することは責任ある対応と言えない」
今月に米議会で開かれた別の公聴会では、仮想通貨を証券とみなすかどうかが時間と共に変化し、それによって管轄となる規制機関がCFTCなのか米国証券取引委員会(SEC)になるのか変わるどいう議論がなされていた。