ツイッター上で無料提供されていたデータサービス「Decahose」を利用している研究者たちは、今後、サービスを利用し続けるために月額4万2000ドル(約590万円)の料金を支払うことが求められることになる。仮想通貨の市場心理分析も含めた世界中の研究活動に影響を与えそうだ。

Decahoseは、すべてのツイートの約10%にリアルタイムでアクセスできるストリーミングサービスだ。これは法執行機関の活動、政治的な偽情報や過激主義の動向など、さまざまなトピックに関する学術研究の主力となっている

イーロン・マスク氏がツイッターを買収したことを受け、同社は3月にAPIへのアクセス料金を月額100ドルから4万2000ドルまでの範囲で設定することを発表した

Decahoseサービスを利用している学術機関や大学は、新しいルールに基づいて月額4万2000ドルの「エンタープライズ」料金を支払うことが求められる。また、利用可能なデータ量は、現在の全ツイートの10%から0.3%に減少すると報じられている

英メディア「iニュース」によると、研究者たちは最近、アクセス料金を支払い始めるか、取得したデータを削除するかの選択を迫られるメールを受け取ったという。iニュースによると、メールには、有料サービスに加入しない研究者は「システム内に保存されたツイッターデータをすべて削除する必要がある」と記載されていた。また、研究者は「削除の証拠を示すスクリーンショット」も投稿する必要があり、契約期間終了後30日以内に手続きを完了する必要があるという。

この変更のタイミングは注目に値するだろう。マスク氏が支持する、フロリダ州知事ロン・デサンティス氏が2024年アメリカ大統領選挙への立候補を発表した直後だからだ。

予定通り実施されれば、Decahoseへのアクセス変更は、世界で最も政治的な活動が活発なソーシャルメディアプラットフォームであるツイッターで、2024年の選挙に向けた偽情報や社会的操作の研究を妨害することになる。偽情報研究だけでなく、人身売買や金融詐欺などのインターネット関連犯罪を研究する能力も制限されるだろう。さらにDecahoseはインターネット上で最も大規模な人間の感情のデータベースの1つであり、ほぼすべての社会関連研究トピックに関する洞察と予測を引き出すデータソースとなっている。

例えば、仮想通貨の市場心理を研究するために使用されるデータの多くは、ツイッターやレディットのデータから得られている。このデータへのアクセスを制限することで、ツイッターは既存の研究を阻害し、新たな取り組みを遅らせることになるだろう。

料金の値上げの背後にある理由の1つとして、マスク氏が技術企業がツイッターのデータを使ってAIシステムを訓練することを防ぐ努力があるとも考えられている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン