15日の仮想通貨市場は、主要仮想通貨を中心に若干の下落。米英の政治で大きな動きがあったものの、市場はどのように消化すればよいか戸惑っているのではないかという見方が出ている。

(引用元:Coin360

トランプの奇策

14日、米ホワイトハウスは、トランプ大統領が議会の承認を得ずにメキシコとの国境の壁の予算を捻出するため、非常事態宣言をする方針を明らかにした。

壁建設の予算をめぐってトランプ大統領と民主党は対立。予算案が議会を通らず、1ヵ月以上続いた米政府機関の一部閉鎖の要因となっていた。先月25日にトランプ大統領は、政府機関の閉鎖を3週間解除することで与野党と合意したと発表。この期限は今週末に迫っていた。

米政府機関の一部閉鎖は、仮想通貨市場にも大きな悪影響を与えていた。

今回、トランプ大統領は予算案が議会を通れば署名する見込みで、しばらく米政府機関の閉鎖は避けられる見通し。ただトランプ大統領は、非常事態宣言によって獲得した自由裁量権を使って、使い道が決まっていない予算を振り分けるなどで壁の建設費を捻出する方針だという。トランプ大統領と民主党の対立構造がなくなったわけではない。

FXcoinのシニアストラテジストである松田康生氏は、「確かに一時的に政府閉鎖は解除されるが、今後の債務上限引き上げなどで問題が再発しかねないとの懸念が残る」と指摘。「買い材料と売り材料とが交錯したというより、市場は反応に困っている状態か」と解説した。

「合意なき離脱」どうなる?

ブレグジット(英国のEU離脱)を巡り、英メイ首相のEUとの交渉方針に対して英議会14日、反対の決議をした。ただ松田氏によると「離脱期限延期などで合意なき離脱は回避可能と市場は考えている節がある」と分析した。

今の所ブレグジットの期限は3月29日で、英国はEUとの条件面での「合意なき離脱」を避けたい。ただ、ポンドや法定通貨に対する懸念が高まると考えられることから、「合意なき離脱」は仮想通貨市場にとってポジティブ材料とみられている。