トランプ大統領の公式ミームコイン「オフィシャル・トランプ(TRUMP)」が、初回の権利確定(ベスティング)に伴うアンロックによって大きな損失に直面する恐れがある。4月18日には4000万トークン(約3億900万ドル相当)が市場に解放される。TRUMPトークンは既にピーク時価格から約90%下落した水準となっている。
アンロックされたトークンは現在の流通供給量の20%を占めている。これまで流通していなかった分が市場に放出されることで、新たな価格変動を引き起こす可能性がある。コインゲッコーによれば、TRUMPトークンの過去24時間の価格は7.46ドルから7.83ドルの間で推移している。
4月18日はTRUMPトークンにとって初のアンロックイベントであり、以降は少量ずつの継続的なアンロックが予定されている。
TRUMPトークンは、トランプ大統領の就任式直前となる1月19日にローンチされ、史上最高値の73.43ドルを記録したが、その後数週間で急落。ブロックチェーン分析企業チェイナリシスによる推計では、80万超のウォレットが合計20億ドル規模の損失を被ったとされる。
ただ利益や損失は売却時点で初めて確定するため、保有者がトークンを売却しない限り、損失は確定しない。トークンの公式サイトによれば、今回アンロックされたトークンは「クリエイターおよびCICデジタルLLC」の所有分とされている。
TRUMPトークン供給の大半を握る企業とは
TRUMPトークンの公式サイトによれば、同トークンの供給のうち80%はトランプ氏に関連する2社、CIC デジタルLLCとファイト・ファイト・ファイトLLCが保有している。
マーケットウォッチの報道によると、CICデジタルはトランプ・オーガニゼーションの関連企業であり、トランプ氏が2024年の連邦選挙委員会向け財務開示では信託財産に組み入れられていた。CICデジタルはかつてトランプ氏の非代替性トークン(NFT)コレクションにも関与していたとされる。
ファイト・ファイト・ファイトLLCもトランプ氏関連の企業であり、CICデジタルとアンドリュー・ピアース氏がワイオミング州で設立したセレブレーション・カーズLLCによって共同所有されている。ファイト・ファイト・ファイトという社名は、トランプ氏が選挙集会中の暗殺未遂事件でカメラに向かって叫んだスローガンに由来している。
今回のアンロックは「クリフ(崖)」と呼ばれる一括大量放出に該当する。今後も同様の大規模アンロックが控えているものの、多くのトークンはより安定的なペースで解放される見通しだ。たとえば、DropsTabのデータによれば、4月19日から21日にかけては、1日あたり約49万3000トークンがアンロックされる予定となっている。