元大統領のドナルド・トランプ氏が、11月5日の米大統領選挙で勝利宣言を行った。共和党の候補者であるトランプ氏は、勝利に必要な選挙人票をほぼ獲得した模様だ。対立候補である副大統領のカマラ・ハリス氏は、ペンシルベニア、ノースカロライナ、ジョージアといった重要な激戦州を逃した。
選挙期間中、トランプ氏は仮想通貨コミュニティに対して多くの公約をした。
米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長を「初日に解任する」と述べ、米国でのビットコイン(BTC)マイニングの推進、戦略的ビットコイン準備金の創設、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の阻止、そして仮想通貨支持者であるロス・ウルブリヒト氏の刑を減刑することなどを誓った。
これらの公約により、仮想通貨業界の多くは新しい政権に大きな期待を寄せているが、一方でコミュニティに対して過度な期待をしないよう警告する声もある。トランプ次期大統領の政策がどれだけ実現されるかは、時間がたてばわかるだろう。
ゲイリー・ゲンスラー氏の解任
トランプ氏は、ゲンスラー氏を初日にSEC委員長から解任することを約束した。
ゲンスラー氏は、現職のバイデン大統領によって2021年にSEC委員長に任命された。彼のSEC在任中、SECは数多くの仮想通貨取引所やプロジェクトに対して訴訟を起こした。
北米最大の取引所であるコインベース、分散型取引所ユニスワップ、ブロックチェーンベースのビデオストリーミング会社Lbry、Web3ビデオゲーム開発者イミュータブル、メタマスクウォレット開発者コンセンシスなどに対して執行措置を取った。
各訴訟において、SECは仮想通貨がしばしば法的に証券であり、その開発者がSECに仮想通貨を証券として登録する必要があったと主張している。
多くの仮想通貨企業やユーザーはこの証券法の解釈を反発しており、トランプ氏はゲンスラー氏を解任すると約束した。
ゲンスラー氏の任期は2025年4月に終了する。その時点で、トランプ氏は仮想通貨業界により友好的な人物にゲンスラー氏を交代させることができるだろう。
トランプ氏はまた、就任初日にでゲンスラー氏を解任することもできるが、ゲンスラー氏の委員長としての行動が「解任理由」に該当するかどうかは訴訟に発展する可能性もある。もう1つのシナリオとして、ゲンスラー氏が辞任し、トランプ氏が彼を解任する必要がなくなる可能性もある。
ロス・ウルブリヒト氏の釈放
トランプ氏は、ダークネット上のマーケットプレイス「シルクロード」運営者であるウルブリヒト氏の刑を初日に減刑し、彼を釈放する可能性があると約束した。
ウルブリヒト氏は、ビットコインを使って薬物など違法な商品が売買できるウェブサイト「シルクロード」を作成した人物だ。アース・テクニカの報道によれば、シルクロードはその運営期間中に推定2億3000万ドル相当の売買を処理した。
ウルブリヒト氏は2013年に逮捕され、シルクロードの設立に関与したとして仮釈放なしの終身刑に服している。同氏の支持者たちは、単に薬物取引を助けただけのウェブデザイナーに対して刑が過酷すぎると主張している。
トランプ氏は、ウルブリヒト氏の刑を服役期間に減刑し、即座に釈放するか、仮釈放なしの終身刑より軽い刑に減刑することができる。
米国のビットコインマイニングを支援
トランプ氏は、米国でのビットコインマイニングを推進すると約束し、「残りのビットコインをすべて米国で作る」と主張した。
次期大統領はこの目標をどのように達成するかについて詳細を明らかにしていないが、仮想通貨コミュニティの一部は、トランプ氏の勝利をマイニング業界に強気とみなしている。
例えば、ビットコイン金融技術会社Jan3のサムソン・モウCEOは、6月13日にトランプ氏のマイニング支持の姿勢が「すべてをさらに前進させるだろう」と語った。
ビットコインマイニングは、環境に大きな影響を与えると環境団体から反対されることがある。しかし、マイニング推進派の大統領は、ビットコインマイニングに対する環境規制を阻止するかもしれない。
戦略的ビットコイン準備金の創設
トランプ氏による仮想通貨関連のもう1つの公約は、犯罪組織から押収したビットコインを売却しないように法執行機関に指示することで「戦略的ビットコイン準備金」を創設することだ。
この政策の支持者は、ビットコインが重要な準備資産であり、保有し続けることで最終的に米国が国家債務を返済するのに役立つと主張している。ワイオミング州の上院議員で仮想通貨に支持的とされるシンシア・ルミス氏は、7月にそのような備蓄を創設する法案を提出した。しかし、これまでのところ、この法案は可決されていない。
CBDCの阻止
トランプ氏はまた、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、政府が運営するブロックチェーン決済システムが創設されないようにすると公約している。
CBDCは民間の仮想通貨で使用されるものと同様にブロックチェーンを使用するが、これらのネットワークは政府によって管理される。
仮想通貨業界は、CBDCが有用なのかどうかについて意見が分かれている。賛成派は遅くて面倒なバンキングを改善するものとみなしているが、反対派はプライバシーを奪うディストピア的なシステムとみなしている。
トランプ氏は、米国がデジタルドルを持つことを阻止すると誓っており、少なくとも一部の仮想通貨ユーザーはこれを肯定的に見ている。
本当に公約を実行するのか?
トランプ氏は仮想通貨ユーザーや業界全体に多くの公約をしているが、業界の一部は彼がそれらを実行できるとは信じていない。
例えば、トランプ氏がすべての残りのビットコインを米国で作りたいと主張したことに対し、シェイプシフトの創設者であるエリック・ボーヒーズ氏は6月13日、この見解は「馬鹿げたナショナリスト/保護主義的なナンセンスであり、ビットコインの理解の欠如と、経済全般の理解の欠如を示している」と語った。
さらに、カーサウォレットの創設者であるジェイムソン・ロップ氏は、戦略的ビットコイン準備金の計画を批判し、法執行機関が押収したBTCの半分は実際にはビットフィネックスに属しており、返還されなければならないと主張した。
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