コインテレグラフのコメンテーターでトレーダーのトシムリン氏が今後のビットコインの相場展望について最新記事を寄稿した。
まずはいつも通り、前回の記事での予測を振り返るとしよう。
前回の記事では「テクニカル的に見れば71,745~79,940ドルを割れない限りは上昇目線維持となる」、「現在いくつかのヘッジファンドのポジション状況などからも、ビットコイン相場に反発の兆しが見え始めている」と指摘していた。
その一方で「米株式市場のリバウンド期間中に一部のファンドが高値掴みを行っている96,690~103,250ドルの水準を明確に突破できなければ、しばらくは調整が続く可能性がある」とも述べていた。
その後の展開は予測通りとなり、71,745~79,940ドルを割れることなく反発。さらに96,690~103,250ドルの突破に成功し、現在はこの水準がサポートとして機能しながら上昇が続いている(図1参照)。
また、前回の記事では「出遅れていたイーサリアムに関しても、今後の展開次第では“見直し買い”が入る可能性があり、注目すべきタイミングに差し掛かっていると言える」と述べていた。さらに当サイトでは、より踏み込んで「ほぼボトム圏、つまり超長期的な買い場にある」との見解を示しており、その後イーサリアムは実際に2.5倍以上へと上昇している(図2参照)。
イーサリアムは、スポーツマーケティング企業シャープリンク・ゲーミングがイーサリアムを準備資産とする新たな財務戦略を発表したことで大きな注目を集めている。さらに、同社の取締役会会長にイーサリアム共同創設者ジョセフ・ルービン氏が就任することも明らかとなり、注目度は一層高まった。加えて、ロビンフッドが現物資産のトークン化に踏み切ったことも相まって、市場は盛り上がりを見せている。
私は今後の暗号資産市場の中心はビットコインではなく、イーサリアムをはじめとするスマートコントラクトのプラットフォームになると考えている。そのため、イーサリアムへの投資はもちろん、スマートコントラクトの普及に欠かせない分野への投資が成功の鍵を握るだろう。
一方で、前回の記事では米国債売りの加速による金利の高止まりが米経済に悪影響を及ぼす可能性を指摘し、米国債市場の構造的問題が解決されない限り、株式市場の反発は一時的な“静けさ”に過ぎないと主張してきた。当初は今年の夏頃がリスク資産にとっての正念場になると見ていたが、結果的にそのタイミングは後ろ倒しとなり、やや予想外の展開となった。しかし、それは単に先送りされただけであり、危機が去ったわけではない。
実際、7月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を下回る7.3万人増にとどまった。さらに5月と6月の数値は合計で25.8万人も下方修正され、修正後の数字は5月が1.9万人、6月が1.4万人と大幅に縮小。結果として、4月以降の雇用はほぼ横ばいで推移していることが明らかになった。
これを受け、8月21日のジャクソンホール講演でパウエル議長はついに利下げを示唆した。市場はこれを好感したが、インフレ懸念が完全に払拭されたわけではなく、今後も容易な展開にはならないだろう。もし米経済の減速や後退を示すデータがさらに出てくれば、スタグフレーション懸念が台頭し、市場には下落バイアスが強まる可能性が高い。
鮮明化するにはもう少し時間がかかるだろうが、それほど遠くはないはずだ。特にビットコインについては、10月から11月にかけて注意が必要だと考えている。
その理由のひとつがビットコインのサイクルだ。ビットコインは過去の相場で顕著な高値をほぼ一定の周期でつけてきており、そのサイクルに従えば次の高値は10月前半頃となる可能性が高い。
また、2020年5月11日の3回目の半減期から約548日後にビットコインはピークを迎えた。2024年4月20日に迎えた4回目の半減期から約548日後を計算すると、やはり10月中旬頃が節目となる。この点からも、10月から11月の下落リスクには警戒が必要だ(図3参照)。
さらに現在の市場の動きは2021年の展開と類似している。
2021年にはビットコインが高値圏を維持する一方で、イーサリアムが急騰。
その結果、ビットコインドミナンスは上昇トレンドラインを下抜けし、最終的にビットコインも下落へと転じた。今回も同様に、ビットコインが高値圏にある中でイーサリアムが急伸しており、ビットコインドミナンスは上昇トレンドを割り込みつつある。
このため、今後さらにイーサリアムが上昇し、ドミナンスが低下するなら、ビットコインも下落に転じる可能性がある。
当面はインフレヘッジ需要に支えられ、ビットコインが高値圏を維持する展開もあり得るが、景気減速や景気後退が明確になれば、一時的に下落するリスクは高まるだろう。
しばらくの間は、ファンドが今年ロングポジションを積み上げている 101,170~108,405 ドルがサポートとして機能する可能性が高い。ただし、景気後退がより鮮明になれば、84,600~97,945ドル、さらに最悪のケースでは 65,000~77,990ドルまで下落するリスクも考えられる。
一方で、これらのゾーンまで調整が進んだ場合には、暗号資産市場全体にとって 中長期的には堅実な買い場 となる可能性が高いだろう(図4参照)。
他にも2021年の相場展開と共通する点はいくつか見られるが、その詳細については本ブログ内で改めて掘り下げて解説していきたい。
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著者 トシムリン
トレード歴16年の現役為替トレーダー。20歳の頃から専業トレーダーとなる。6年間はトレードが上手くいかず一時借金を背負ったが、研究と分析を積み重ねて独自手法を編み出し、7年目からプラス収益となり、そこからは安定的に利益を出し続けている。一般投資家が持ちえないマーケットの内部構造を多角的に分析して市場を予測していくことが得意分野。分析能力と育成能力に定評があり、トレード教育によって多くの常勝トレーダーを輩出している。
ここに表示された見解および意見は、著者のものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を反映するものではありません。すべての投資とトレーディングにはリスクが伴うため、意思決定の際に独自の調査を実施する必要があります。