株式市場と仮想通貨セクターでは、トレーダーは常に値動きを説明する明確な理由を探している。ただ注意をしなければならないのは、相関関係は因果関係意味しないということだ

規制問題を仮想通貨市場の値動きの結果と結びつけるのは簡単かもしれないが、それらが本当の推進力であったという確かな証拠があるわけではない。次に説明するいくつかの指標が、偶然起こった可能性がある。

たとえば、10月1日のビットコイン(BTC)の48,200ドルへの急騰は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による9月30日の発言に関連しているともいわれている。この時、パウエル議長は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)にコメントした際、FRBが仮想通貨を禁止する意図はないことを明確にした。

現在の上昇のもっともらしい理由の1つは、ビットコインの7日間平均ハッシュ―レートが毎秒145エグザハッシュ(EH/s)に跳ね上がったことだ。これは6月はじめに中国政府がマイニング取締り強化をした際にハッシュレートが急落して以来、最も高いレベルだ。

最後に米証券取引委員会(SEC)によるビットコイン上場投資信託(ETF)の承認への期待が高まったことも挙げられる。これがトレーダーの最近の強気な賭けに不可欠な役割を果たした可能性がある。

明確なことは、複数の要因がビットコインを49,000ドルまで導いた可能性があるということだ。いま足元では、強気派はBTCを50,000ドルを取り戻そうとしている。それでは最近の上昇に先立ち、点滅した3つの「買い」シグナルをみてみる。

前触れ的なUNIトークンの上昇

Uniswap (UNI, left) vs. Bitcoin (BTC, right). Source: TradingView

分散型取引所UniswapのトークンであるUNIは、10月1日の仮想通貨市場上昇の数時間前に急騰した。UNIは、UTC(協定世界時)で9月を閉めた直後に上昇を開始し、23ドルから24.30ドルまで5%上昇した。この動きに続き、ビットコインが45,000ドルを超える急騰の3時間前には、4%上昇して25.20ドルとなった。

興味深いことに、中国が仮想通貨への規制を強化した後、分散型取引所での取引高が急増している。DEXに移行することにより、政府が仮想通貨の動きを制限する可能性は大きく低下する。このことは、中国の行動でも仮想通貨の取引高に影響を与えることができないことを、投資家が理解するきっかけになっただろう。

デリバティブ取引所ではショートが上昇

一部の取引所では顧客のポジションを測定し、スポット市場やデリバティブ市場のデータと統合することで、顧客のエクスポージャーの有用な情報を提供している。たとえば、OKExのビットコイントレーダー・ロング対ショート比率は、この2日以内に1.25(ロング優勢)から0.72(ショート優勢)に変化した。

これは直観に反するように聞こえるかもしれない。投資家が弱気な方に賭けていることを示しているが、市場の期待が破られると、極端な値動きが発生する傾向があるのだ。

OKEx Bitcoin derivatives long-to-short ratio. Source: OKEx

バイナンス先物での建玉急増

原資産に関係なく、先物契約は常にロング(買い手)とショート(売り手)が一致している。これは投資家がどちらの側に偏っているかどうかを予測する方法がないことになる。

しかし、有効な契約の総数である建玉の突然の増加は、投資家の自信を反映している。建玉が大きくなればなるほど、賭け金は大きくなる。

Binance Bitcoin futures open interest. Source: Binance

UTC午前6時の上昇の4時間前、建玉が急増していることに注目して欲しい。建玉がピークに達した後に、ビットコイン価格は大きく影響を受けている。

 

上昇を引き起こした真の理由を明らかにすることはできないかもしれないが、将来同様のパターンが発生するかどうかを監視することで、トレーダーは価格の上昇を予想できるかもしれない。もちろん上記の3つの指標がまた繰り返される保証はないが、データを監視することは大したものではない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
 

ここに表示された見解および意見は、著者のものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を反映するものではありません。すべての投資とトレーディングにはリスクが伴うため、意思決定の際に独自の調査を実施する必要があります。