Cornerstone Researchが19日に公表したレポートによると、米国証券取引委員会(SEC)は13年以降、デジタル資産市場における違反に対して計約23億5000万ドルの課徴金を課している。

レポートは「SEC Cryptocurrency Enforcement: 2021 Update(SECによる仮想通貨取り締まり:2021年最新版)」と題され、13~21年にSECが計97件の取り締まりを実施したとしている。

97件のうち58件が訴訟に発展し、39件が行政手続きの対象となった。また、23億5000万ドルのうち17億1000万ドルが訴訟によるもので、6億4000万ドルが行政手続きによるものだった。

Allegations in SEC Cryptocurrency Litigations. Source: Cornerstone Research.

課徴金の対象者の大部分は「法人被告」で、23億ドル5000万ドルのうち18億6000万ドルを占めていた。一方、個人の被告に課された金額は4億9000万ドルだった。

SECが仮想通貨事業者に初めて課徴金を適用したのは13年の7月だったが、仮想通貨空間での取り締まり活動は17年までは低調だったとレポートは述べている。13~17年の取り締まり件数はわずか6件だった。

これに対して21年には計97件のうち20件が実施され、そのうち米国の連邦裁判所で審理されたものが14件、行政手続きが6件だった。20件のうち、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関連するものが70%を占めていた。レポートはさらに次のように述べている。

「2021年に実施された20件の執行のうち、詐欺容疑が65%で未登録業者による証券発行容疑が80%、その両方の容疑が55%だった」

レポートを作成したシモーナ・モラ氏は声明の中で、SECによる最近の仮想通貨業界の取り締まりは、21年4月にゲーリー・ゲンスラー委員長が就任したことに関係している可能性があると語っている。そして、同年の5月末から9月中旬にかけて執行件数の「顕著な増加」が見られると指摘している。

さらに「SECは、仮想通貨の貸付プラットフォームや未登録のデジタル資産取引所、分散型金融(DeFi)の貸付業者に対して初となる摘発を行った。また、ICO関連の取り締まりにおいて、テレグラムに次ぐ規模の課徴金を課した」と述べている。