ブロックチェーンゲームの開発を手がけるアニモカブランズは、3月20日、スクウェア・エニックスなどから現金と仮想通貨で200万ドル(約2億2000万ドル)の資金調達をした。今回の資金調達は昨年第3四半期(7-9月期)に行われ、子会社TSBゲーミングが手がける「ザ・サンドボックス」の開発に使われる。

ザ・サンドボックスがコインテレグラフジャパンに事前に共有したプレスリリースから明らかになった。

出資したのは、スクウェア・エニックス、Bクリプトス、トゥルー・グローバル・ベンチャーズ。現金83%、仮想通貨(ビットコインとテザー)17%の割合で、株式取得略式契約スキーム(SAFE)とザ・サンドボックスの独自トークン「サンド(SAND)」の発行を通して201万ドルの資金調達を行った。

ザ・サンドボックスは、仮想世界における土地(LAND)やアイテム、キャラクターの売買においてブロックチェーンを使うことで、プレイヤーにゲームの所有権を与えることを目指している。先日には第2回目のLANDのプレセールを行い、850イーサ(ETH)分の土地を売却した

スクウェア・エニックスは、ファイナルファンタジーやドラゴンクエストなどで知られる日本を代表するゲーム会社。Bクリプトスは、ブロックチェーン系のスタートアップ専門の日本のファンドで、トゥルー・グローバル・ベンチャーズはシンガポール拠点のファンドだ。

アニモカブランズは、2020年後半にザ・サンドボックスが正式に立ち上がる予定であることを明かした。

「もはや黎明期ではない」ザ・サンドボックスとゲームの新境地

ザ・サンドボックスは、イーサリアム上に構築された分散型の仮想世界。プレイヤーはボクセル型が特徴のゲーム体験を自分たちで構築してマネタイズができるようになる。ブロックチェーンを使って、ゲームの所有権をゲーム会社からプレイヤーに移動させる試みとして注目されている。

ゲーム内のキャラクターやアイテム、土地、家、ゲーム自体は、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)として取引される。NFTは、非代替トークンのことであり、ビットコインなどの仮想通貨と異なり1つ1つのトークンが固有の価値を持つ。プレイヤーに対して「本物のデジタル所有権」を与えるトークンとして注目される。

SANDは、イーサリアム規格のERC20トークンであり、ザ・サンドボックスのプレイヤー、開発者など取引に使われる。

アニモカブランズ共同創業者で会長のヤット・シウ氏は、スクウェア・エニックスという「伝説的なゲーム企業」から出資を受けたことを誇りに思うとし、「Bクリプトスからの出資とともに、ザ・サンドボックスの日本市場展開に近づいている」と述べた。

ザ・サンドボックスの共同創業者であるセバスチャン・ボーゲット氏は、コインテレグラフジャパンの取材に対して、スクウェア・エニックスからの出資は「大ニュースだ」と歓迎している。

ボーゲット氏によると、スクウェア・エニックス社の社長は今年に入って「ブロックチェーンゲームはもはや黎明期ではなく、重要なプレゼンスを示し始めている」とし、「投機目的のための機会」と扱うのではなく「我々の顧客のゲーム体験に何か新しいものを持ち込めるか示せるかどうかが成長への原動力になるだろう」と述べている。

また、ボーゲット氏は日本市場がかなり重要であると指摘し、すでにLAND所有者のある程度の割合が日本人となっていることを明かした。