世界的に有名なニュースメディア“The Economist”が、ブロックチェーンテクノロジーの先駆者たちを認知しただけでなく、10月31日の週刊版で、ビットコインをフィーチャーした話を掲載した。
表題は、”ザ・トラスト・マシーン―――ビットコインにまつわるテクノロジーは、どのようにして世界を変えられたのか。”ざっくりと、その一部と概要を紹介しよう。
The Economistは世界で最も古く信頼できるメディアの一つである。
ご存知の通り、所謂大手メディアの中では、ビットコインの評判はあまりよくない。もし最初の一文で、“事実をきちんと認識するように”、とほのめかされていただけだったとしても、それは端的に“ビットコインの評判は悪い”と言っているに過ぎない。オンライン版ではこの論評を書いた筆者の名前は公開されていない。
一段落目は、何故一般的にネガティブな評判がなされるのか、短い概要だけが書かれているだけだ。次の段落の中心部分でも、ビットコインの如何なるパブリックイメージに対しても論破などはしていない。その正当性についての論議への関心は少なく、むしろ何故ここまで投資家や大銀行家たちの興味を引くのか、とビットコインによる革命的なブロックチェーンテクロノジーに対する反射的な抗弁のように思える。
原文の内容としては、Napsterを開拓者として挙げ、将来すべてのP2PネットワークはNapsterにならい、Spotify、Bitcoinと続け、というようなものだった。記事はブロックチェーンについての大まかな部分だけ取り上げ、銀行の利用から、ホンジュラスにおける不動産登録に至るまで、多くのビジネスの場においてより能率的に取引がなされる手助けとなる可能性があるだろうと綴っている。
“ビットコイン自体は、ただ興味が引かれるという程度のものである。しかし、ブロックチェーンについては、取引や業務において、信頼性を必要とする生体認証などによるシステムなどへの利用価値がある。現存する何十もののスタートアップ企業がブロックチェーン技術に対して投資を試みているが、ビットコインブロックチェーンを賢く利用するか、新たなブロックチェーン技術を創り上げるかの二択でしかない。”
様々な見方があるが、週に1,400,000人もの読者を抱えるような大手メディアが、ビットコインのような革新的なテクノロジーやブロックチェーンについて論じているため、一読には値する。どの記事も贔屓目に見ても概ね肯定的だが、ビットコインよりもブロックチェーンを推奨するこの流れを見て、筆者は、ビットコイン界の権威であるアンドレアス・アントノポウロス氏の言葉を彷彿とさせられた。同氏は、七月に行われたWired Money Bitcoinの教育セミナーにおいて次のように述べた。
アントノポウロス氏曰く:
“ブロックチェーンそのものは、取引が緩慢で、退屈なテクノロジーだ。しかしビットコインの破壊的なそのポテンシャルを無視するような真似をするのはおろかであり、さもなければ、水で薄められたCompuServe社のような、重役会議室で流れるスムースジャズをさらにソフトにしたようなものになれ果てるだろう。Blockbusterのようになるか、Netflixのようになるか、の二つしかない。あくまでビットコインが重要なのであって、ブロックチェーンが問題なのではない。”
The Economistの記事を読むのも、アンドレアス氏のWired Moneyにおける学術論文的ビデオを見るのもどちらもいいアイディアだろう。両方の側面を見て、自分がどちらの未来へ向かっていくのか判断をしてほしい。20分間アンドレアス氏の講義を聞いてより教育的になるか、上記の引用元を7分間読むか、どちらがいいだろうか?答えは聞くまでもないだろう。しかし好奇心から大手メディアの昨今の論調を知りたい、と思う読者もいるかもしれない、もちろん近視眼的な内容かもしれないが。