中国政府は仮想通貨(暗号資産)は通貨とは規定されておらず、「仮想コモディティ」に分類されている。しかし、業界関係者の中には中国政府主導で進めるブロックチェーンプロジェクトである「ブロックチェーン・サービス・ネットワーク(BSN)」のインフラが中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発を刺激することになると予想する人も出てきている。

コインテレグラフとのインタビューで、レイヤー1のブロックチェーンプロトコルであり、中国で唯一の国営のパブリックチェーンプロジェクトの「コンフラックス・ネットワーク(Conflux Network)」でグローバル・マネージングディレクターを務めるエデン・ダリワル氏は、中国政府が「デジタルコマースの世界を支配し、将来の形に適応した経済にするために、CBDCの立ち上げに高いモチベーションを持っている」と話す。

2019年10月に試験的に始められたBSNは、2020年4月に商用利用を正式に開始。中国の国家情報センター(SIC)が主導するブロックチェーン・イニシアチブだ。7月には「BSNチャイナ」と「BSNインターナショナル」の2つのエコシステムに分離したことを発表した。

ダリワル氏はBSNが、このような形に分裂した理由や中国のブロックチェーンエコシステムへの影響について考えを次のように述べた。

「BSNは、パブリック・ブロックチェーン・ネットワークの機能を失うことなく、ネットワークを規制に準拠し、より安全で経済的に安定したものにするために分割したのだろう。この二層構造のエコシステムは、ネットワークの信頼性を損なうことなく、チェーンや国をまたいだ資本と資産の流れを確実にする。」

ダリワル氏は、BSNでパブリックチェーンを統合する目的について、リテールユーザーのの規模と採用、大規模なエコシステムの成長を確実にすることに貢献し、「デジタル資産の相互運用性、イノベーション、国際化を生み出すために、多様なパブリックチェーンを統合する必要がある」と述べた。

「BSNの重要な任務の1つは、中国におけるブロックチェーンエコシステムを前進させることだ。そのため、プライベートチェーンソリューションを実装することで、限られた企業や政府のユースケースに焦点を当てることが可能になる。」

同氏はコインテレグラフに対し、パブリックチェーンを取り入れることで、「CBDCとシームレスに統合できる革新的な金融商品やデジタルベンチャーのための機会が生まれる」と語っている。

8月、中国商務部は、中国のCBDCであるデジタル人民元の試行を北京市と天津市、河北省に拡大すると発表した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が8月14日に報じたところによると、中国CBDCの拡大パイロットプログラムの開始時期はまだ決まっていないという。

また、BSNは2021年中にもステーブルコインをサポートすることが報じられている

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン