『世紀の空売り』や『マネーボール』で有名な、ベストセラー作家であるマイケル・ルイス氏が、サム・バンクマン-フリード氏(SBF)と仮想通貨取引所FTXの崩壊についての本をほぼ完成させたことを明らかにした。
ルイス氏の次回作であるバンクマン-フリード氏についての本は、『Going Infinite: the Rise and Fall of a New Tycoon(無限への道:新興富豪の栄光と転落)』と題されている。ルイス氏は2021年末、友人からの依頼でFTXの創設者であるSBFと出会う機会を得たという。
ルイス氏は5月19日、マイアミで開催されたビットコイン2023カンファレンスに登壇した。同氏は、出版日を明確に示すことはなかったが、SBFの裁判が始まる10月頃に本を出版したいと語った。
しかしAmazonで検索すると、本の仮発売日が10月3日となっている。

報道によれば、ルイス氏はFTXが2022年11月に破綻する直前に、本をほぼ完成させていたという。それに続くSBFの逮捕や刑事告訴は、仮想通貨王者の物語にまったく新しいアングルを加えることになった。
SBFとFTXの物語
ビットコインカンファレンスで本の執筆プロセスを振り返りながら、ルイス氏はFTXのドラマが最終的に本を救ったと語った。
当初「これは本にならないと思った」と彼は述べ、次のように付け加えた:
「私は、相談相手になってくれる人物とこの話をした...彼は、"あなたの問題は、第三幕がないことだ。最初の二幕はあるが、第三幕がない"と言った。そして私は、"それは完全に正しい、結末をどうつけるべきか分からない"と答えた。その1週間後、FTXが爆発した。私はとてもそれに感謝したよ」
ルイス氏は本の詳細を多く語らなかったが、FTXの崩壊を現場で直接目撃することができたという。
「それは小説のように読まれることを目指している」と彼は述べ、次のように付け加えた。「あなたが仮想通貨について何も知らないとしたら。サム・バンクマン-フリードが誰なのかさえ知らなかったとしてら、あなたは"これはただの作り話だ"と思うかもしれない」
またルイス氏はビットコイン・マイアミで、自身がFTXの破産により出金することができなくなったビットコイン(BTC)があることも明らかにした(その額は少額だと言っているが)。
ルイス氏が『世紀の空売り』で2008年の住宅バブル危機の主要なプレイヤーや驚くべき瞬間を鮮やかに描き出すことができたことを考えると、SBFについての次回作にも興味深い洞察があるだろう。
カンファレンスでの出演中、ルイス氏は、SBFの内部関係者や従業員、バハマと米国の政府関係者からのインタビューを収集していることを明らかにした。
また、彼はパロアルトの自宅軟禁中のSBFのインタビューを行うことが許可されていたという。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン