タイ証券取引委員会(SEC)は、テザーのUSDt(USDT)およびサークルのUSDCをタイ国内の仮想通貨取引に利用可能なステーブルコインとして正式に承認した。これにより、これらのステーブルコインはタイ国内の規制取引所で上場・取引されることが可能となる。

タイSECは3月16日に施行予定の規制改正案について、2月に最終決定する前に一般からの意見募集を行い、その後、承認をこのほど発表した。

既報のように、タイ国内では仮想通貨の合法化やステーブルコインの導入を求める声が高まっており、国内収益の拡大策としても注目されている。2024年8月には一部のサービス提供者向けに規制サンドボックスが設けられ、仮想通貨実験が開始されていた。

今回承認されたUSDTとUSDCは、すでに取引を許可されている5種類の仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、XRP、ステラルーメン、タイ中央銀行が決済試験中の仮想通貨)に加わる形となる。

テザーは3月10日の発表で「今回の承認により、USDtがタイ国内のデジタル資産事業者によって導入され、決済手段として利用されることが可能になる」と述べている。

拡大するステーブルコイン普及

ステーブルコインは仮想通貨取引の利便性を高めるだけでなく、新興市場では従来の国際送金に代わる手段としても注目されている。

2023年12月のチェイナリシスのレポートでは、ステーブルコインは「国際送金と越境決済の革新的なユースケース」と位置付けられた。たとえばサブサハラ・アフリカの新興市場では、ステーブルコインを使った送金は従来手法よりも60%安価で行うことが可能とされる。

また、ベンチャーキャピタルa16z Cryptoによると、2023年12月だけで2,850万人のユニークユーザーがステーブルコインによる取引を6億回以上行ったという。ただし、これは世界の決済業界が年間に処理する取引総数(3.4兆件)のごく一部に過ぎない。

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Stablecoin transfers are significantly cheaper and faster than traditional payment methods. Source: a16z Crypto

時価総額ベースでは、ステーブルコインの総流通量は約2,300億ドルに達しており、DefiLlamaによると、そのうちテザーのUSDtが63%超を占めている。