タイ財務省のソムチャイ・スジャポン事務次官は、仮想通貨市場に投資するリスクについて、タイ銀行とタイ証券取引委員会(SEC)が公式に投資家に警告する必要があると考えているという。タイの「バンコック・ポスト」が2月2日に報じた。

 スジャポン事務次官によると、タイ中銀であるタイ銀行、タイ証券取引委員会、財務省、アンチマネーロンダリング局から成る仮想通貨の作業部会は、仮想通貨関連の法整備の進め方に関する報告書を近く発表する。

 仮想通貨市場投資の法規制の今後について、スジャポン事務次官は、

「政府の警告や管理が無いままにビットコイン取引を許すことは受け入れられない」

 と述べた。

 タイ証券取引委員会は17年9月、ICOはタイの法制下では証券のカテゴリーに分類される可能性があり関連法案を起草する用意があると発表し、ICOの支持に積極的な姿勢を見せている。

 スジャポン事務次官は、市場の乱高下を受け、仮想通貨規制に関してタイは早急に結論を出す必要があると考えている。とはいえ、スジャポン事務次官は、ビットコインの規制とブロックチェーンテクノロジーの規制との間に明確な一線を引いている。

「ビットコインを好まないとしても、ブロックチェーンを有害と見なすのは誤りだ。ブロックチェーンテクノロジーは便益を生むことができる。ブロックチェーンテクノロジーの利用によって、恩恵を受けることができる。」(スジャポン事務次官)

 タイの銀行は、ブロックチェーンに基づくテクノロジーを金融業務に利用できないかどうか、既に検討を始めている。

 タイ銀行は17年8月にイーサリアムの共同創始者であるヴィタリック・ブテリン氏と会合を持ち、イーサリアムをはじめとするブロックチェーンサービスを使用して金融取引の速度と安全性を高める可能性について話し合った。17年11月には、タイのアユタヤ銀行が、管理業務の効率化を目的としてIBMと共同でブロックチェーンの実験プロジェクトを行い、成功を収めている。