テキサス州下院は5月21日、州としてビットコイン(BTC)準備金を設立することを目的とした法案「SB21」の3回目の読会を通過させた。賛成101票、反対42票で可決され、今後はグレッグ・アボット州知事の署名もしくは拒否を待つことになる。
SB21は州上院議員チャールズ・シュヴェルトナーが起草した法案で、州の会計監査官が管理するビットコイン準備金の設立を定めている。法案は、過去12か月の間に時価総額が5,000億ドルを超えた仮想通貨への投資を認めており、現時点で該当するのはビットコインのみである。
下院での採決前、州下院議員のジョヴァンニ・カプリグリオーネは、「テキサスがデジタル時代におけるリーダーシップを確立する上で極めて重要な瞬間だ。私たちは将来性ある現代の資産を、伝統的な価値とともに受け入れる」と述べた。SB21はすでに3月6日に州上院で25対5で可決されている。
テキサス州の経済規模は国内で2番目に大きく、2024年の州内総生産(GDP)は2.7兆ドルに達したとKVUEは報じている。仮にテキサスが独立国だった場合、世界第8位の経済規模となる。
州レベルでのビットコイン準備金法案、採否は分かれる
アボット知事がSB21に署名すれば、仮想通貨準備金の設立を認めた米国の州としては、テキサスが2例目となる。1例目は2024年5月6日、ケリー・アヨット州知事が下院法案302に署名したニューハンプシャー州である。
一方で他州では、同様の法案が相次いで否決されている。5月13日にはアリゾナ州のケイティ・ホッブス知事が仮想通貨準備金に関する2つの法案に拒否権を行使。5月6日にはフロリダ州で2本の戦略的ビットコイン準備金法案が撤回された。
ホッブス知事は拒否権行使の書簡で、「現在の仮想通貨市場のボラティリティを考えると、一般財源での運用は賢明とは言えない」と述べた。
モンタナ州でも、仮想通貨のリスクの高さを理由に、デジタル資産準備金の導入が見送られている。
「Bitcoin Laws」によれば、これまでに26州で計47本のビットコイン準備金法案が提出されており、連邦レベルでも13本の法案が現在審議中だという。
アボット知事はこれまでにも仮想通貨に対する好意的な姿勢を示しており、今回も法案に署名する見込みが高い。2024年11月のソーシャルメディア投稿では、テキサスを「暗号資産マイニングの本拠地」と評し、「クリプトの首都になるべきだ」と発言している。
なお、アボット知事は2014年からビットコインによる選挙献金を受け付けていると報じられている。