ステーブルコイン大手のテザー社は、多様なブロックチェーンネットワークとの統合を拡大し続けており、Nearネットワーク上でテザー(USDT)の発行を開始した

USDTが今週月曜から、分散型アプリケーション向けに設計されたスマートコントラクト対応のブロックチェーンプラットフォーム「Nearネットワーク」上で利用できるようになった。

テザーのNearブロックチェーンへの統合は、分散型金融(DeFi)エコシステムにおける存在感を高めるというテザー社の取り組みにおける大きなマイルストーンだという。「市場の変動に伴う潜在的な悪影響を緩和し、ユーザーのスケーラビリティを加速させる」と、テザー社は発表で述べている。

Nearネットワークは、現在テザーが利用できる11番目のブロックチェーンになる。このステーブルコインは現在、ポリゴン、クサマ、イーサリアム、ソラナ、アルゴランド、EOS、リキッド・ネットワーク、オムニ、トロンなどのチェーンでも使われている。

本稿執筆時点では、USDTの最大のシェアはトロンとイーサリアムで発行されており、それぞれ330億ドル、320億ドルのUSDTがこのブロックチェーン上で実行されている。テザーの透明性レポートによると、トロンとイーサリアムを合わせると、テザー社のUSDT発行額の96%以上を占めている。

2014年から始まったテザーは、もともとビットコイン(BTC)ブロックチェーン上のオムニレイヤープロトコル(ビットコインの上にデジタル資産を構築し取引するためのソリューション)を介して発行されたものだ。

Nearネットワークがテザーのエコシステムに加わるのは、AuroraネットワークやOctopusネットワークなど、Nearを基盤とするプロジェクト数が700という大きな節目を迎えている中でのことだ。7月の時点で、Nearネットワークの1日の取引量は平均30万~40万件だった。

「NEARエコシステムは今年歴史的な成長を遂げましたが、その継続的な発展のためにテザー社は不可欠な存在になると考えている」とテザー社最高技術責任者のパオロ・アルドイノ氏は述べている。

Near財団も月曜日、Web3開発を対象とした1億ドルのベンチャーキャピタルファンドとベンチャーラボを立ち上げると発表している