仮想通貨(暗号資産)データ分析企業のグラスノードによると、ステーブルコインであるテザー(USDT)の仮想通貨取引所への流入が過去8ヶ月で最高レベルに達している。ビットコイン(BTC)価格の急騰により、28日に2019年11月以来の高い流入を記録した。

(出典:グラスノード「USDTの取引所への流入」)

これまでに仮想通貨分析企業のサンティメントのデータからは、取引所が保有するUSDTとビットコイン価格の間に逆相関があることを指摘されていた。しかし、USDTはビットコインを取得する手段として人気の通貨でもあることから、今回のビットコイン上昇で取引所への流入が増加したものと考えられる。

USDTが成長続ける

USDTは仮想通貨全体の中でも注目が高まっている。最近ではリップル(XRP)を抜き、時価総額が3位となった。今月は時価総額が100億ドルを超えたことが報じられた。現在は120億ドルを突破し、ステーブルコイン全体の時価総額の大部分を占めている。

USDTは時価総額だけでなく、取引量も増加している。2020年3月に記録した過去最高には及ばないものの、BTC/USDTペアの取引量はビットコインの価格上昇に伴い増加している。

(出典:クリプトコンペア「USDTno24時間ボリューム」)

メサーリが最近発行したレポートによると、USDTだけで1日の取引量をビットコインを追い抜く可能性が指摘されている。これはイーサリアムやトロン、オムニレイヤーを通じて転送されたUSDTをすべて含んでいる。USDTを通じた決済量の増加は取引所間決済と、分散型金融の成長にも起因している。

(出典:メサーリ「ビットコインvsテザーの取引量」)

弱気か強気か

最近の取引所へのテザー流入が急増していることは、そのほかのテザー関連の指標も考慮すると、ビットコインの強気シナリオを示しているように捉えられる。

しかし、USDTの時価総額の増加はステーブルコインへの需要を示している一方で、取引所への流入はビットコインやそのほかの仮想通貨への需要を示しているものだ。

USDTの需要増はビットコインのロングとショートの手段としてUSDT自体のデリバティブを提供している取引所が少ないことが原因と考えられる。

クリプトコンペアのアナリストであるジェームズ・リ氏によると、最近のUSDTの取引所への流入はビットコインにとってそれほど強気要素ではないという。

「グラフの過去のパターンを見ても、強気のシグナルとは考えられない。過去の大規模な流入の中には、その後に価格が下落したこともあれば、動かなかったこともある。最終的に価格上昇につながった流入の変化が見られたのは3月の暴落時だったが、今回は価格上昇に先行した下落は見られなかった」