仮想通貨テザーの運営会社テザー・リミテッドが12日に発表したところによると、カナダの大手銀行モントリオール銀行(BMO)でAML(マネーロンダリング防止)品質管理マネジャーを務めていたレオナルド・リアル氏を、規制コンプライアンスの責任者に据えた。米ドルとの裏付けの信ぴょう性が問われ、昨年末の価格操作疑惑にさらされているテザーにおいて、規制順守やコンプライアンスの強化が進むか注目だ。

 リアル氏は、BMOでAML調査の質を改善するために、規制要件にしたがって実務やポリシー、手順を確立する仕事をしていた。株や先物取引の経験もある同氏は、今回の就任について以下のようにコメントしている。

 「ブロックチェーンおよび仮想通貨業界で透明性の確保や規制遵守を目指すテザーの取り組みを紹介する一助となれることを楽しみしている。仮想通貨をメインストリームに組み込むという動きやブロックチェーン技術を長年支援している者として、従来の金融機関でのAMLや規制遵守の経験を活かせることは嬉しい。従来の産業界に革命をもたらすテザーのプロジェクトを確実に継続させていく」

 テザーは14年、法定通貨に裏付けされたデジタル通貨のトークン化を行う「初の」ブロックチェーンプラットフォームとして設立された。先月、フリー・スポーキン&サリバン法律事務所がテザーの口座を非公式に監査した結果、トークンを1対1で米ドルにより裏付けるだけの十分な資金がUSDTに実際にあることが判明した。テザーがすべてのトークンをドルで裏付けられるかどうかという問題は以前、批判や論争の的となっていた。ただ、公式な監査による裏付けはまだされていない。

 また先月、テキサス大学のアナリストが調査結果を公表すると、テザーにはさらなる疑惑が持ち上がった。昨年ビットコイン(BTC)価格が2万ドル近い史上最高価格まで急騰した際に、価格操作を行ったのではないかというものだ。アナリストは文書の中で「テザーの購入は市場の落ち込みの後に設定され、ビットコイン価格の相当な上昇につながった」と主張している。